俳優の篠山輝信さん(42)が、所属していた芸能事務所を相手取り、出演料にかかる消費税相当額の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は7月、事務所に約206万円の支払いを命じた。篠山さんは判決後、記者会見で「芸能界の不透明な契約慣行に対して明確な判断を示した」と述べ、涙ながらに「芸能人が安心して活躍できる業界になってほしい」と語った。
事務所との契約と消費税を巡る争い
篠山さんは2004年、写真家の父・篠山紀信さん(故人)の勧めで芸能事務所に入所。NHKの情報番組「あさイチ」などに出演し、人気を博した。専属契約では出演料の総額の60%を受け取る取り決めだったが、消費税相当額に関する記載はなく、事務所が受け取っていた。2023年秋にインボイス制度が始まったのを機に確認したところ、事務所は全てのタレントに消費税相当額を支払っていないと明かした。理由は税務の煩雑さを避けるためだった。
篠山さんは自分で消費税を納めており、手取りが減っていた。不透明な支払いに疑問を抱き、24年11月に提訴した。
判決の内容と事務所の対応
東京地裁は、事務所が制作会社から受け取った金銭のうち、出演料にかかる消費税相当額の60%は受け取る権利がなかったと判断。篠山さんが納税した分の計約206万円を事務所の不当利得と認め、支払いを命じた。事務所側は「事実認定と法的判断に重大な問題がある」として控訴した。
芸能界の構造的な問題と篠山さんの思い
公正取引委員会が24年に行った調査では、芸能事務所の26%が所属芸能人と書面契約を結んでいなかった。「一方的に報酬額を決められた」「報酬の明細が十分に示されていない」といった声も上がっている。篠山さんは「志半ばで芸能界を去っていった仲間たちの姿を思い出した」と涙の理由を語り、「芸事は素晴らしい。芸能人が安心して活躍できる業界になってほしい」と話した。



