人が亡くなった後の部屋やゴミ屋敷を片づける依頼が増えている。特殊清掃や遺品整理、ゴミ屋敷の片づけなど、これまで10万件以上の現場に携わってきた関西クリーンサービス。代表の亀澤範行さんはなぜこの仕事を始めたのか? そして現場を通じて考えた「孤立化を防ぐためにできること」とは?
「胸が締めつけられる思い」—祖母の遺品整理が原点
今から23年ほど前、祖母が亡くなった。奈良県の実家は築50年を超える古い家で、田舎ではよく見かけるような、無駄に大きいが雨漏りもあり、あちこちが傷んだ家だった。祖父母の代から住んでいたその家には、50年分の家族の荷物が詰まっていた。
祖母が亡くなり、建物の取り壊しが決まった。だが、解体するためには、家財道具や宅内の荷物をすべて外へ運び出さなければならなかった。当時の私たちは素人だったため「家財道具ごとそのまま解体され、処分されるもの」だと思っていた。だが実際は違った。
父、母、私、弟2人の家族5人で、遺品整理をすることになった。私も弟たちも、実家を出て、それぞれ仕事をしていた。月に1回、休みを合わせて集まることになった。しかし、家族の用事というのは甘えが出る。9時集合のはずが、みんな遅れてくる。昼から来ることもある。そして、いざ片づけ始めても、押し入れの奥から私たちが幼稚園の頃の造作物が出てきたり、家族写真が出てきたりして、手が止まる。「なつかしいね」と言いながら思い出にひたっているうちに、あっという間に時間が過ぎていく。そんな日々が1年半続いたが、遺品整理はいっこうに終わらなかった。
「よくこんな仕事するよな」と言われることもあるが…
「胸が締めつけられる思い」—亀澤さんはそう振り返る。この経験が、後に遺品整理・特殊清掃の仕事を始める原点となった。周囲からは「よくこんな仕事するよな」と言われることもあるが、亀澤さんは「孤立や孤独死は誰にでも起こりうる」と確信している。
19年にわたり、10万件以上の現場を経験してきた。火災後の家の片付けで途方に暮れていた高齢女性との出会いなど、数々のエピソードが彼の信念を強くした。
確信した「孤立化」を防ぐためにできること
亀澤さんは、遺品整理や特殊清掃の現場を通じて、現代社会における孤立化の深刻さを痛感している。誰にでも起こりうる孤独死。その防止には、地域コミュニティのつながりや、日頃からの声かけが重要だと訴える。
「孤立化を防ぐためにできること」として、亀澤さんは小さな親切や関心を持つことの大切さを説く。遺品整理の仕事は単なる片づけではなく、故人の人生や遺族の気持ちに寄り添うことだと語る。
亀澤範行さんは関西クリーンサービスの代表であると同時に僧侶でもある。その立場から、遺品整理や特殊清掃を通じて、故人と遺族の橋渡し役を務めている。本記事は、関西クリーンサービス著『特殊清掃員が見た怖い部屋』より一部を抜粋したものです。



