歯科医師の宮本日出氏(幸町歯科口腔外科医院院長)は、子供の頃の習慣や特徴が将来の歯の健康に直結すると警鐘を鳴らす。2010年以降、中学生になってもハンバーガーを前歯で噛み切れないなど、口腔機能に問題を抱える子供が急増。その背景には「口腔機能発達不全症」があるという。
口腔機能発達不全症とは
口腔機能発達不全症は、2018年に疾患として指定された。乳幼児期に獲得すべき「食べる」「話す」「呼吸する」といった口腔機能が未熟なまま成長した状態を指す。単なる筋肉の未発達ではなく、成長段階で様々な前兆が現れる。
見逃せない10のサイン
宮本氏によると、特に幼児期に見逃しがちなサインとして「風船を膨らませられない」が挙げられる。これは口輪筋の筋力低下と舌のコントロール不全を示す。その他、以下の兆候に注意が必要だ。
- いつも口がポカンと開いている(口呼吸の常態化)
- 食事中に何度も水を飲む(咀嚼不足で流し込んでいる)
- 滑舌が悪く、特にサ行やタ行が聞き取りにくい
- 食べる時にクチャクチャと音を立てる
- 硬い食べ物を極端に嫌い、柔らかいものばかり選ぶ
- ストローでジュースを飲むのが苦手
- 寝言が大き過ぎる
- 鼻ほじりに指を2本同時に入れる(鼻の穴が広がった証拠)
多くの親はこれらの行動を「食べ方が汚い」「しつけの問題」と捉えがちだが、宮本氏は「体からのSOS」と強調する。
ゴールデンタイムを逃すな
口腔機能の発達には「ゴールデンタイム」が存在する。上顎の成長は10歳までに成人の90%が完成。下顎のリモデリング機能は12歳以降に3分の1に低下し、14歳を超えると骨の形と質が固定され始める。この時期を逃すと、後からの治療に多大な費用と時間がかかる。
宮本氏は「将来多くの歯を失う人は、子供の頃にこれらのサインを示していることが多い。早期発見と対策が重要だ」と述べている。



