暑さが増すこの時期、「食欲が出ない」「胃もたれしやすい」など、胃の不調を感じる人が増えている。20~60歳の男女300人を対象にしたアンケート調査によると、約6割が過去1カ月以内に何らかの胃の不調を経験していることが明らかになった。調査結果をもとに、医師が胃の不調の原因や自宅でできるセルフケアについて解説する。
約6割が胃の不調を経験、最多は「胃もたれ」
調査では、「過去1カ月以内に経験したことのある胃の不調」について尋ねたところ、「胃もたれ」が39.5%で最多となった。次いで「胸やけ」(22.9%)、「胃の圧迫感・不快感」(22.3%)、「胃痛」(20.6%)が続いた。一方、「特にない」と回答したのは36.9%にとどまり、約6割が何らかの胃の不調を経験していることがわかった。胃の不調は珍しいものではなく、多くの人にとって身近な悩みであることが浮き彫りになった。
胃の不調の原因、1位は「ストレス」
胃の不調の原因として思い当たるものを複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「ストレス」(43.7%)だった。次いで「食の好み(カフェイン・刺激物・脂っこいものなど)」(36.3%)、「加齢」(33.2%)、「不規則な食生活」(31.1%)が続いた。また、「運動不足」(24.7%)、「睡眠不足」(23.7%)、「飲酒・喫煙」(23.2%)を挙げる人も見られた。一方、「姿勢の悪さ」(16.8%)、「デスクワーク中心の生活」(14.2%)は比較的少数だった。
胃の不調時の対処法、休息・睡眠が最多
胃の不調を感じた際の対処法としては、「休息・睡眠をとる」(38.4%)が最も多く、次いで「市販薬を服用する」(34.2%)、「水分をとる」(27.4%)、「食事量を減らす」(24.7%)、「食事内容を見直す」(23.2%)と続いた。また、「我慢して様子を見る」と回答した人も20.5%いた。
生活習慣と胃の不調の関係
普段の生活で当てはまるものを尋ねたところ、「ストレスを感じることが多い」(49.5%)が最多で、「睡眠不足を感じる」(48.4%)、「運動する機会が少ない」(44.2%)が続いた。さらに、「スマホを長時間利用している」(36.8%)、「デスクワーク中心である」(33.2%)、「食事時間が不規則」(28.4%)という回答も目立った。
医師解説:胃の不調が起こる原因
浅川クリニック副院長の浅川貴介医師(医学博士)は、胃痛や胃もたれの原因として、胃炎や胃・十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染、機能性ディスペプシアなどを挙げる。胸やけは胃食道逆流症が代表的で、暴飲暴食や脂っこい食事、飲酒、喫煙、ストレスがきっかけになることもある。ただし、胃の不調の症状が必ずしも胃だけに由来するとは限らず、胆のうや膵臓、まれに心臓の病気が隠れていることもあると注意を促す。
生活習慣と胃の不調の関係
浅川医師は、食べ過ぎや早食い、脂肪分の多い食事、過度の飲酒、喫煙、不規則な食事、食後すぐに横になる習慣が胃もたれや胸やけを悪化させると指摘。ストレスや睡眠不足も自律神経や胃腸の知覚に影響し、症状を感じやすくする可能性がある。見落とされがちな要因として薬の影響も挙げ、ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬や低用量アスピリン、鉄剤、一部の抗菌薬が胃の不調を引き起こすことがあるため、症状が続く場合は服用中の薬やサプリメントを医師や薬剤師に伝えることが大切だと述べた。
睡眠不足やデスクワークの影響
長時間のデスクワークやスマートフォンの利用は、運動不足や前かがみの姿勢、夜更かし、就寝直前の飲食につながりやすく、間接的に胃の不調に影響する可能性がある。特に、夕食が遅くなり食後すぐに横になる習慣は胸やけや逆流症状を悪化させる。スマートフォンそのものよりも、それに伴う睡眠不足や食事時間の乱れ、長時間同じ姿勢で過ごすことに注意すべきと浅川医師は助言する。
夏場の胃腸への負担
夏は暑さによる食欲低下や睡眠不足、脱水、冷たい飲み物の摂り過ぎなどが重なり、胃の不調を感じる人がいる。食欲がないからといって食事を抜き、その後に一度に多く食べると胃の負担になる。水分は一度に大量に飲むのではなくこまめに補給し、食事は少量ずつでも規則的に摂ることが大切。冷たい物で症状が出やすい人は、常温の飲み物や温かい料理を取り入れるとよい。
予防・改善のためのセルフケアと受診の目安
浅川医師は、食べ過ぎを避け、よく噛んでゆっくり食べること、食後2~3時間は横にならないことを推奨。脂っこい食事や飲酒など、症状を起こしやすいものを控えることも基本だ。市販薬を使用する際は症状に合ったものを選び、用法・用量を守って短期間使用し、改善しない場合は医療機関を受診すべき。一方、強い痛みや繰り返す嘔吐、食べ物のつかえ感、体重減少、吐血、黒い便、貧血、発熱を伴う場合は早めの受診が必要。突然の激痛や、冷や汗・息苦しさを伴う胸部やみぞおちの痛みがある場合は救急受診も検討してほしいと述べている。



