厚生労働省は、小児がん患者に高度な医療を提供する「小児がん拠点病院」を、現在の全国15カ所から10カ所程度に集約する方針を固めた。治療実績の多い医療機関ほど手術や予後の状況が良好であるためで、人口減少や少子化による患者数減少を踏まえ、症例数を集めて質の高い医療を実現する狙いがある。
7月に開かれた同省の検討会で方針が決定。今冬以降に拠点病院を選定し、令和9年4月からの新体制移行を目指す。難治・再発がんなどに対応するほか、国立がん研究センター(東京)と国立成育医療研究センター(同)を「小児がん中央機関」に指定し、全体の牽引役とする。
患者減少と医療の質向上
15歳未満の小児がんは少子化などで減少傾向が続く。平成28年に2144人だった新規患者数は、令和5年には1905人と約1割減少。推計では、32年には1438人になる見通しだ。高度で高額な医療機器の効率的利用も必要で、拠点の集約化は妥当と言える。
小児がん領域では、海外の小規模ベンチャー企業が開発した新薬が日本で使えない問題が深刻だ。日本語の壁や手続きの違いから日本で開発申請しないケースが多い。このため、拠点病院では国際共同治験や臨床研究も推進する。
移動負担への支援が課題
課題は、拠点病院から遠い地域の患者の移動負担をどう補うかだ。交通手段や治療中の滞在先などへの目配りが不可欠で、政府は各都道府県などと連携し、早急な検討が求められる。
厚労省は、高度医療を行う拠点の集約化と並行して、各地で標準的治療を提供する「都道府県小児がん拠点病院」の枠組みも設ける。自治体の推薦を踏まえ各都道府県に原則1カ所指定し、専門病院との連携も図る。患者が安心できるネットワーク構築に万全を期したい。
困難な疾患でも生存率は改善している。拠点病院での高度な初期治療を終えたら自宅に帰り、子供らしい生活を送りながら身近な病院で経過観察を受けられる体制が望まれる。



