Ⅲ期卵巣がんの治療を続ける60代の女性が、血管新生阻害薬ベバシズマブ(商品名アバスチン)の使用中に脳梗塞が見つかり、治療の継続に不安を感じている。がん研有明病院婦人科部長の金尾祐之医師が、薬の効果とリスクを踏まえた見解を示した。
治療経過と現在の状況
相談者は令和2年1月に卵巣がんと診断され、翌月に両側の卵巣・卵管を切除。被膜が破れがんが露出していたため、術後にタキサン系のパクリタキセルとプラチナ製剤のカルボプラチンを併用するTC療法を6コース実施した。その後、子宮や大網、大腸への播種が確認され、5カ月後に切除手術を行い、再度TC療法を受けた。
さらに4年には脚の付け根のリンパ節転移、5年には脾臓転移、6年には大腸転移が見つかり、それぞれ切除。直近の手術では約50センチの大腸を切除し、目に見える腫瘍はなくなった。術後はTC療法にベバシズマブを追加し、現在も治療を継続している。
医師の見解
金尾医師は、相談者が「プラチナ感受性」に分類されることを説明。「プラチナ製剤を含む化学療法後、6カ月以上たってから再発・転移が見つかる症例で、TC療法にベバシズマブを併用・維持することで無増悪生存期間(PFS)が延びることが示されています」と述べた。
一方で、今年4月の検査でがんが確認されていないこと、6月のMRIで偶然見つかった脳梗塞について「倦怠感や歯ぐきの出血はベバシズマブの副作用と考えられます。脳梗塞が元々あったものか、薬の影響で血栓ができたものかは分かりませんが、今後新たな血栓ができれば健康に大きく影響します」と指摘。
その上で「ベバシズマブのPFS延長効果は3~4カ月程度で、生存期間(OS)への効果は不明です。再発腫瘍を完全に摘出した後の使用であり、効果は限定的と考えられます。人生全体への影響を考えると、継続のメリットは少ない印象ですが、主治医とよく相談して決めてください」と助言した。
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