大分大学や三和酒類株式会社研究所の研究者らが国際学術誌「Frontiers in Pharmacology」に発表した論文で、飲酒中に水(チェイサー)を飲んでも二日酔いは緩和されないとする成果が示された。お酒と水のイラスト(絵:おね)
酒を飲みながら水を飲めば翌朝が楽になるという説は広く信じられてきたが、酒量・水分量・食事まで揃えて厳密に比較した研究はなく、根拠は経験則の域を出ていなかった。
日本酒4合と水1Lで比較
今回の検証では、酒に強い体質(ALDH2野生型)の健康な男性を対象に、大分大学医学部附属病院で実施。最終的に13人が試験を完了した。参加者は1週間以上の間隔をあけて2回参加し、純アルコール1.3g/kg体重相当の日本酒(三和酒類の和香牡丹、アルコール分15%)だけを飲む条件と、同量の日本酒に加えて15mL/kg体重の水を飲む条件を、順序をランダムに割り付けて実施した。
実際の平均摂取量は日本酒749mL(約4.2合、最小値598~最大値967mL)、水1072mL(最小値855~最大値1383mL)。これを夜9時から1時間かけて一定のペースで飲む。食事の影響を揃えるため、夕食も朝食も全員同一の標準食とした。
自覚症状に差なし、DSSTでは差
実験の結果、呼気中のエタノールもアセトアルデヒド(飲酒直後こそ水あり条件でやや高めだったが、翌朝の7時間後には一致)も両条件でほぼ重なり、有意差はなかった。呼気濃度は血中濃度とよく相関するため、水を飲んでも血中の動態は実質的に変わらないことになる。
主観症状も全項目で差がつかなかった。飲酒直後に顔面紅潮と高揚感が上がり、睡眠後の7~8時間後には頭痛と吐き気が増えて集中力が落ちていたことから、参加者が実際に酔い、二日酔いの状態に達していたことは確認されている。つまり、翌朝の二日酔いの自覚症状には差が認められなかった。
ただし、精神運動機能を測る「DSST」では違いが出た。飲酒直後は水あり条件のほうがスコアの落ち込みが有意に大きく(1時間で計約1800mLを飲む負担で複数の参加者が腹部膨満を訴え1人が脱落)、翌朝の7~8時間後は逆に水あり条件のほうが高い傾向を示した(有意差なし)。
チェイサーの間接的効果
もっとも、研究チームはチェイサーが無意味だと言っているわけではない。水を挟むことで酒を飲む量そのものが減り、飲むペースも緩やかになる。チェイサーの効能は、その間接的な作用にこそあるのではないかと考察している。言い換えれば、チェイサーによって酒量が調整されるということになる。



