早朝や夜間の咳はなぜ起こるのか
日中は気にならないのに、早朝や夜間だけ咳が出るという経験はないでしょうか。咳には気道への異物侵入を防ぎ、侵入した異物を排出する働きがあります。しかし、冷たい空気や煙、動物のフケ、ハウスダストなどが気管を刺激すると、脳の咳中枢に伝わり反射的に咳が出ることがあります。特に早朝や夜間に咳が集中する場合、何らかの疾患が隠れている可能性があります。
ヒューヒューゼーゼーする早朝や夜間の咳:喘息の可能性
最もよく見られる原因は喘息です。チリダニ、ハウスダスト、ペットのフケ、カビ、煙などが気管支を刺激して狭くなり、ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸音や咳、痰が出て息苦しくなります。特に早朝や夜間に悪化しやすい特徴があります。呼吸器科やアレルギー科での治療が推奨されます。
ヒューヒューゼーゼーしない乾いた咳:咳喘息の可能性
息切れや喘鳴がなく、咳だけが続く場合、咳喘息が考えられます。咳喘息の約30%は通常の喘息に移行するため、治療が欠かせません。呼吸器科やアレルギー科で診断を受けることが重要です。
胸やけを伴う夜間の咳:胃食道逆流症の可能性
咳に加えて胸やけがある場合、胃食道逆流症が疑われます。胃の内容物が逆流し、気道を刺激することで咳や喘息様症状を引き起こします。夕食後すぐに横になると逆流しやすくなるため、注意が必要です。主な症状は胸やけや、口や喉に酸っぱいものがこみ上げる感覚ですが、咳だけが現れることもあります。消化器科の受診が適切ですが、まずはかかりつけ内科に相談してもよいでしょう。
仰向けで寝ると起こる咳と痰:後鼻漏の可能性
鼻や副鼻腔の慢性炎症により膿が喉の奥に流れ落ちる後鼻漏が原因の場合、仰向けに寝ると喉を刺激して咳や痰が出やすくなります。耳鼻咽喉科で薬剤を処方してもらうことで改善できます。
横になると咳と息苦しさ:心不全の可能性
横になってしばらくすると咳や息苦しさが現れる背景に心不全が隠れていることがあります。心臓の働きが悪いと、横になった際に肺の血管血流が滞り、刺激となって咳や息苦しさが生じます。足のむくみや体重増加を伴うこともあり、放置すると命に関わるため、早めに循環器科を受診してください。
その他のシーンで出る咳
気管支喘息や咳喘息、アレルギーがある場合、冷たい空気を吸ったときや運動したときに咳が出ることがあります。続くようであれば呼吸器科やアレルギー科に相談しましょう。また、心因性咳嗽として、人と会話するたびに痰を伴わない甲高い咳が出ることもあります。精神的ストレスが原因ですが、自己判断は難しいため、まずは呼吸器科に相談するのが安全です。
早朝・夜間の咳のホームケア
軽い咳であれば、以下のホームケアを試してみてください。
- 寝室の温度・湿度を調整:乾燥や冷気が原因の場合、エアコンや加湿器で適切な環境に保ちましょう。
- 夕食時間を早め、上半身を高くして寝る:胃食道逆流症が疑われる場合、夕食は就寝6時間前までに摂り、クッションなどで上半身を少し高くすると逆流が減ります。
- 禁煙する:喫煙はあらゆる咳を悪化させるため、禁煙し副流煙も避けましょう。
咳は呼吸器だけの問題ではない可能性も
早朝や夜間の咳の原因は、喘息、咳喘息、胃食道逆流症、後鼻漏、心不全など多岐にわたります。ホームケアで改善することもありますが、自己判断で病気を見逃さないよう、一度医療機関を受診することが大切です。その際、「どんな時に」「どんな咳が出るか」をメモにして医師に伝えると診断がスムーズになります。
一宮西病院副院長で呼吸器内科部長の竹下正文先生(日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医)は次のように述べています。「夜間や明け方に咳が続く場合、気温差や乾燥した空気、横になる姿勢などが気道を刺激し、咳の引き金になることがあります。気管支喘息や咳喘息、アレルギー、胃酸の逆流、後鼻漏、心不全など様々な病気が原因となり得ます。夕食後すぐに横にならないこと、寝室の環境を整えること、禁煙なども大切です。『ただの風邪』と思わず、咳が長引くときは医療機関を受診してください。咳は体からの大切なサインです」



