『ままならない部屋』書評 自閉症など抱える人々の空間意識を追体験
『ままならない部屋』書評 自閉症などの空間意識を追体験

作家の新川帆立さんが、発達障害や精神疾患を抱える人々の「部屋」に焦点を当てた書籍『ままならない部屋に、住んでいる』(横道誠著、学芸出版社、2200円)を書評している。本書は、自閉スペクトラム症(ASD)やADHD、双極症、鬱病、不安症、摂食症、依存症などの当事者たちへのインタビュー記録で、実際の部屋の写真も掲載されている。

当事者たちの部屋と生き方

書評で新川さんは、自身もASDで体幹が弱く、寝転がって原稿を書いていると明かす。ベッドの周りに資料を並べ、布の皺やズレが気になって1時間に一度はシーツを整えるという。異様に見えるが、自分にとっては一番落ち着く場所だと語る。

本書では、防犯上の不安から11台の監視カメラを設置する人、体調不良時に家族へ影響を与えないよう一人で休める部屋を確保する人、脳の認知リソースを保つため自室にほとんど物を置かない人など、さまざまな工夫が紹介されている。逆に、頭の中の記憶や情報を空間という外付けハードディスクに移すことでストレスを軽減し、部屋が散らかっているほうが頭がすっきりするという人もいる。

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著者のコメントが生む温かさ

新川さんは、各ページ下段にある著者・横道誠さんのコメントを本書の読みどころと指摘。インタビュイーへの温かいまなざしが心地よく、著者自身の語りが混ざって話が脱線し、本文とコメントを行き来しながら混乱するが、読み進めると妙に癒やされると述べている。

本書全体が「散らかっているけど落ち着く部屋」のような作りになっており、「ままならない部屋」による精神の休憩を追体験できる一冊だと評している。

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