声優で歌手の水樹奈々さん(31)は、声優出身者として初めて音楽チャートの1位に輝くなど、めざましい活躍を続けています。幾度の苦難を乗り越え、つかんだ夢。あえて〝二兎(にと)を追った〟ことが、自身を成功に導く大きな力となりました。
父の教えと幼少期の厳しい練習
5歳から歌い始めた水樹さんは、亡き父の姿を思い出すと、どうしてもその光景がよみがえってくるといいます。歯科技工士だった父・信光さんのもとで、歌の練習をする自分の幼い姿です。父は自らも演歌歌手を目指した時期があり、果たせなかった思いを娘に託しました。
最初の手ほどきを受けたのは5歳の時。以来、生活は歌を中心に回り始め、必然、子供の楽しみは〝お預け〟の状態に。家でテレビを見ることはもちろん、放課後に友達と遊ぶことさえ禁じられたといいます。歯科用ドリルの音が伝わってくる自宅脇の作業場で、騒音に負けない声量をひたすら磨きました。それが今の歌唱力を支える根っこになったのです。
順風満帆に見えた道のりと壁
結果からいえば、父の願いは見事にかないます。15歳でカラオケの全国大会を制し、芸能事務所にスカウトされ、四国から上京。20歳には歌手デビューを果たしました。その略歴をざっと眺めた上では、人生に目立った逆風は吹かなかったようにみえます。
しかし、水樹さんは「壁に突き当たって『私なんて』と思ったこともあるし、周囲の輝いている人を見てうらやましく思ったこともあった」と振り返ります。所属事務所が倒産するなど、苦難も経験しました。
二兎を追う姿勢がもたらした成功
それでも、水樹さんは声優と歌手の両立を目指し、二兎を追い続けました。その姿勢が、声優出身者として初めて音楽チャート1位を獲得するという快挙につながりました。他人をうらやむのではなく、自分の道を進むことの大切さを、水樹さんは身をもって示しています。



