小雨のバス停で迷うおじいさんに声をかけられなかった後悔
小雨のバス停で声をかけられなかった後悔

小雨のバス停での出来事

ある小雨の日、JRの駅前にあるバス停に筆者は並んでいた。バスの到着まであと2分という時、列の後方から穏やかながらも不安を含んだ声が聞こえてきた。「○○医療センターへ行くには、何番のバスに乗ればよいですか」。振り返ると、80代と見られるおじいさんが、筆者の後ろに並ぶスーツ姿の男性に尋ねていた。

スーツの男性は「このあたりに詳しくないので、すみません」と丁寧に断った。次に自分が尋ねられると思った筆者は、慌ててスマートフォンで経路を調べ始めた。しかし、おじいさんは筆者や前の人に声をかけることなく、とぼとぼと医療センターの方へ歩き出した。筆者がスマホを一心不乱に操作していたため、声をかけづらかったのだろう。

経路検索中の葛藤

経路検索が完了するまで約30秒。その時、おじいさんとの距離は約20メートル。伝えるべきバス停は道路を挟んだ反対側にあった。本来なら手を引いて案内するか、少なくとも駆け寄って伝えるべきだった。しかし、筆者が乗るバスは目の前まで来ていた。このバスを逃すと次の便は1時間後だ。

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結局、筆者は声をかけられず、バスの吊り革に揺られながら、徐々に離れていくおじいさんの背中を眺めることになった。おじいさんの手には、よれた服装とは対照的に、しわ一つない小さな花が印刷された紙袋があった。入院した奥さんにでも会いに行くのだろうか。

後悔と教訓

この経験から、筆者は小さな親切をためらうことの後悔を痛感した。スマホの操作に没頭するあまり、目の前の人の困りごとに気づけなかった。高齢者が増える中、公共交通機関でのさりげない助け合いの重要性を改めて考えさせられるエピソードである。

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