3メガバンク、預金不足で貸出選別へ 最高益の裏で迫る危機と政府対策
3メガバンク、預金不足で貸出選別へ 最高益の裏で危機

3メガバンクが「貸したくても貸せない」事態に陥る恐れが高まっている。貸出の原資となる預金の調達が難しくなる一方、国際規制は貸出の裏付けとして十分な預金の確保を求めており、さらに政府がトランプ米政権と約束した巨額の対米投資への協力も負担となっている。政府も対策に乗り出した。

三井住友FG社長、貸出選別を示唆

三井住友フィナンシャルグループ(FG)の中島達社長は5月の決算会見で、今後の貸出方針について「これまではニーズがあればどんどん貸そうということだったが、今後は若干、選別的にやらざるを得ない」と述べた。同社中核の三井住友銀行は2023~25年度に国内貸出金を10.5兆円伸ばしたが、今後3年間の伸びはその約3分の1の3兆円強にとどまる見通しだ。最大の要因は、貸出の原資である預金の伸びが「だいぶスローダウンする」(中島氏)ことにある。

預金伸び悩みの背景

日本全体で預金は伸び悩んでいる。競争激化や新NISAの影響で、個人預金が投資に流れているほか、企業も余剰資金を預金ではなく運用に回す傾向が強まっている。メガバンクにとって、預金は貸出の原資であるだけでなく、国際的な自己資本比率規制(バーゼルIII)においても安定した資金源として重要視されている。規制上、預金の裏付けがない貸出はリスクが高いとみなされ、追加の自己資本が必要となる。

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政府の対米投資協力が負担に

さらに、政府がトランプ米政権との間で合意した巨額の対米投資計画への協力も、メガバンクの経営を圧迫している。具体的な金額や融資枠は明らかにされていないが、銀行は政府の要請に応じて米国向けの貸出や投資を拡大する必要があり、限られた預金の中で国内貸出とのバランスを取らなければならない。

最高益の裏に潜むリスク

3メガバンクは2025年3月期に純利益が初めて合計5兆円を超え、3年連続で過去最高益を更新した。利上げが追い風となり、貸出金利の上昇が収益を押し上げた。しかし、預金不足が深刻化すれば、貸出の伸びが鈍化し、収益基盤が揺らぐ可能性がある。国際規制に対応するため、銀行は預金を増やすか、貸出を減らすか、あるいは自己資本を積み増す必要に迫られる。

政府の対策と今後の展望

政府も事態を重く見て、預金増加に向けた施策を検討している。具体的には、個人の貯蓄促進策や、企業の預金優遇策などが議論されている。しかし、新NISAで投資が促進される中、預金回流は容易ではない。メガバンクは、預金集めの競争が激化する中で、貸出先の選別をさらに強化せざるを得ない状況にある。

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