奈良公園(奈良市)に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」の頭数が、前年から222頭増の1687頭と過去最多を記録したことが16日、保護活動を行う一般財団法人「奈良の鹿愛護会」の調査で明らかになった。観光客らによる過剰な餌やりが増加の一因とみられる。一方で、子鹿の数は減少し、昨年7月以降の死亡数が増加していることから、来年以降は頭数が減少に転じる見通しだ。
調査結果の詳細:成獣増加、子鹿減少
調査は7月15、16日の両日朝に、愛護会のメンバーらが目視で実施した。成獣は雄が411頭(前年比96頭増)、雌が990頭(同174頭増)で、いずれも増加。一方、子鹿は286頭(同48頭減)と減少した。
昨年7月から今年6月までの1年間に198頭が死亡し、成獣、子鹿ともに前年より増加。死因別では自然死など「その他」が126件で最多、交通事故が47件で続いた。
専門家の分析:過密化と自然調整の可能性
記録更新について、愛護会の中西康博副会長は「公園内のシカが過密化したことで、雌が出産を控えるなど自然に頭数を調整しているのかもしれない」と分析。その上で「鹿せんべい以外の餌を与えると自然の法則が乱れるため、与えないで」と観光客らに注意を呼びかけた。
奈良公園では、観光客が鹿せんべい以外のパンやお菓子などを与えるケースが後を絶たず、シカの健康や生態系への影響が懸念されている。愛護会は今後も啓発活動を強化する方針だ。



