連立入り1年、維新は今…高市首相の厚遇と副首都構想の光と影
連立1年、維新の立ち位置は…高市首相の厚遇と副首都構想の光と影

地域政党・大阪維新の会を母体とする日本維新の会が連立入りして今月21日で1年が過ぎた。高市首相からの異例の厚遇や副首都法案の成立といった成果がある一方、自民党に埋没し「維新らしさ」が失われたとの指摘も出ている。その光と影を追った。

政務官就任、首相が手を取った3人のうち2人は維新所属

第2次高市改造内閣が発足した翌日の9月18日夜、文部科学政務官の辞令を交付された維新衆院議員の美延映夫(65)は、新政務官約30人とともに首相官邸の階段を下り、最前列に立った。自民党の大阪市議出身で、大阪府知事だった橋下徹(57)が2010年に創設した大阪維新に合流後、国政に転出した。

自民総裁で首相の高市早苗(65)が隣に並ぶと、無数のフラッシュを浴びた。高市からは「よろしくお願いします」と声をかけられ、握手を交わした。高市が記念撮影後に手を取った3人のうち2人は維新所属で、異例の厚遇だった。

副首都推進局が息を吹き返す、職員は約120人に

大阪市役所5階に「副首都推進局」のプレートが掛かった一室がある。かつて不要論もささやかれたこの部署は、4月からスペースが不足するほど職員が増え、同じ階にある別部署の部屋を借りるまでになった。同局は10年前の2016年4月、府・市の共同部署として設置された。前年に1度目の大阪都構想の住民投票で制度案が否決されていたことを踏まえ、維新が新たに掲げた副首都構想に基づく組織で、当時の同構想は東京一極集中を是正し、東京と肩を並べる経済圏を大阪に形成する内容だった。

ただ、実際に維新が力を割いたのは都構想の2度目の住民投票だ。60人を配置した同局が主に担ったのは、都構想の制度案作りを進める法定協議会の事務局機能だった。2020年の住民投票で制度案が再び否決されると、2022年度の職員は約35人となり、庁内には「もう畳んでもいいのでは」との声すらあった。

しかし、維新の連立入りで大阪の副首都化が急浮上して、同局職員は今年度約120人まで増え、息を吹き返した。「大阪の副首都指定は既定路線」との見方は広がっており、市幹部は「こんなに日の当たる組織になるとは思わなかった」と驚きを隠さない。

法案成立へ強い書きぶり、野党時代は廃案も

維新が約10年前に打ち出した副首都構想は、国政では当時、見向きもされなかった。野党時代の2023年、衆院に副首都法案を単独で提出した際は、審議未了で廃案となった。風向きが変わったのは昨年10月20日。維新が自民と交わした連立政権合意書に2026年の通常国会で「法案を成立させる」と明記されたためだ。他項目は軒並み「目指す」と表現される中、大阪府知事で維新代表の吉村洋文(51)の意向を反映し、副首都だけひときわ強い書きぶりになったという。

与党が提出した副首都関連法案は今年7月24日の参院本会議で可決・成立した。吉村は今月22日、府庁で記者団に「地方から生まれた政党が本気でここまでやり、法案を成立させることができた」と連立入りの成果を誇った。

「維新らしさ」失われた?農相更迭への対応遅れ

一方、与党入りで「維新らしさ」が失われたとの指摘もある。地元自治体の道路予算を「カットした」と発言した問題などで14日、農相を事実上更迭された簗和生(47)に対し、維新は当初、辞任を求める動きを見せなかった。簗は高市の肝いり人事と受け止められていたからだ。

吉村は「説明責任を尽くす、これが最初だ」と静観姿勢だったが、世論の批判が強まると、最後は「今までの説明で、国民が納得するか胸に手を当て、出処進退を判断してもらいたい」と踏み込んだ。維新結党メンバーの一人は「与党内で辞任を求めるのが本来の維新の役割だ」と対応の遅さを問題視した。橋下もX(旧ツイッター)で、国会議員団が辞職を迫らなかったことを非難し、「統一地方選まで6か月を切った地方議員は辛い」とおもんぱかった。

自民は今年2月の衆院選で、総定数の3分の2(310)を上回る316議席を獲得し、参院で否決された法案を単独で再可決することが可能になった。維新は36議席で、「巨大な自民にのみ込まれ、埋没している」との指摘もある。自民の地方議員は今の維新をこう言い表す。「威勢のいいことを言っていた野党時代の方が支持されていた。今はさまよっているようだ」