高市首相の食料品消費税1%案、党内から異論噴出 財源論議先送りで混乱
食料品消費税1%案に党内から異論 財源先送りで混乱

高市首相が打ち出した食料品の消費税率を8%から1%に引き下げる「食料品消費税1%案」をめぐり、自民党内から異論が噴出している。財源論議の先送りに加え、首相自身が減税期間終了後の税率引き上げを明言したことで、「2年後に元に戻せば大増税」との批判が強まっている。

財源10兆円の確保が先送りに

今回の減税案は、消費税の実質ゼロを目指すもので、2年間で合計約10兆円の財源が必要とされる。しかし、政府・与党は具体的な財源確保策を示さず、議論を先送りしている。社会保障国民会議の実務者会議に出席した自民党の小野寺五典税調会長は、会議で発言したが、具体的な財源案は示されなかった。

実務者会議の有力議員は「最優先課題の財源確保策が『P=ペンディング(保留)』では論議を進めようがない」と批判する。立憲民主党の石橋通宏参院議員は会議後、記者団に「細かいことは先送り。これで財源の議論はできない」と反発。国民民主党の古川元久代表代行(財務省出身)も「財源を本当に確保できるのか。円の信認にもつながって、さらに円安が進めば、また物価が上がってしまうリスクもある」と財源論議の先送りを糾弾した。

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首相の「元に戻す」発言で党内反発

さらに混乱に拍車をかけたのが、高市首相が22日の衆参予算委集中審議で「(減税実施の期限が切れる29年4月以降は)税率を元に戻す」と明言したことだ。これに対し、自民党内からは「その時点で大増税となり、国民の理解が得られるはずがない」(元税調幹部)との批判が噴出した。

この発言により、減税案は一時的な措置に過ぎず、期限後には消費税率が元の8%に戻ることで、実質的な増税が発生するという懸念が強まった。党内の財政規律派は以前から減税案に拒否感を示しており、今回の発言でさらに反発が強まっている。

小渕優子税調副会長が辞任表明

こうした中、25日に一部メディアが報じたのが、自民党税調の小渕優子副会長の「インナー辞任」だった。小渕氏は財務副大臣を経験し、財政再建を重視する立場で知られる有力議員で、自民党旧茂木派の最高幹部の1人でもある。同氏は税調の最終意思決定を担う非公式幹部組織「インナー」からの辞任を表明した。

小渕氏の辞任は、税制をめぐる党内の路線対立をさらに印象づける結果となった。自民党内では「物価高に苦しむ国民が期待する『食料品減税』そのものが宙に浮きかねない」(長老)との厳しい見方が広がっている。

専門家の間でも異論相次ぐ

もともと経済学者など専門家の間では、今回の減税案について異論や反論が少なくない。食料品に限定した軽減税率は、対象品目の線引きが難しく、制度が複雑化する懸念がある。また、低所得者ほど食料品支出の割合が高いとは限らず、恩恵が公平に行き渡らない可能性も指摘されている。

さらに、財源確保のメドが立たないまま減税を実施すれば、国債発行増加や財政悪化を招き、長期金利上昇や円安を加速させるリスクがある。国民民主党の古川氏も指摘したように、円安が進めば輸入物価が上昇し、かえって物価高を招く恐れがある。

首相の指導力が問われる事態に

一連の混乱を受け、国会会期末を控えて、高市首相の指導力や統率力が改めて問われる事態となっている。与党内からも「このままでは減税案そのものが頓挫しかねない」との声が上がる。政府は早期の財源確保策提示を迫られるが、党内の意見対立は根深く、調整は難航が予想される。

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