全国の書店数が昨年度末時点で9993店となり、調査開始以来初めて1万店を割った。日本出版インフラセンターの調べで分かった。ピークだった1998年度の2万4237店の4割まで減少している。出版科学研究所によると、昨年の紙の出版物の推定販売金額は50年ぶりに1兆円を割った。
書店の閉店相次ぐ
大阪府豊中市に本社を置き、北摂地区を中心に70年以上にわたって店舗を展開してきた田村書店が倒産した。東京商工リサーチ関西支社によると、今月4日付で大阪地裁から特別清算開始決定を受けた。最盛期には年間売上高が45億円を超えたが、書籍の売れない時代に加え、雑誌の販売減から赤字に転落。負債総額は約14億6000万円(2023年5月時点)に上る。8店舗は別の会社に事業譲渡され、営業を継続する。
人気雑誌の廃刊・休刊も相次ぐ。かつて650万部を誇った漫画雑誌「少年ジャンプ」も今年4~6月の平均で98万5000部となり、100万部を超える紙の雑誌が消えた。
読書が培う力
電車の中でスマートフォンを見る人が増え、本や雑誌を手にする人はほとんどいない。週刊誌の中吊り広告も見かけなくなった。ちょっとした調べものはネットが早くて便利な時代だ。
しかし、便利さは諸刃の剣ではないか。やわらかくて食べやすく調理された食事ばかりだと、歯や消化器官が弱くなる。知識も咀嚼してこそ身につく。本を読むのは楽しい。子供の頃、「宝島」や「トムソーヤーの冒険」を読んでワクワクした。本が世界を広げ、考える力を培ってくれた。
椎名誠さんの短編「日本読書公社」には、友人の目黒考二さんが「本を読むのが仕事の会社」を夢想し、そのアイデアを買う場面がある。ジャンル別の課があり、読んだ本をデータ化してストックし、会員にぴったりの本を紹介するという内容だ。椎名さんと目黒さんはやがて、イラストレーターの沢野ひとしさん、弁護士の木村晋介さんを加えて、書評誌「本の雑誌」を発行する会社を設立した。
本は文化である。青息吐息の出版業界だが、何とか元気を取り戻してほしい。



