高市早苗首相の笑顔が、政権末期の「カラ元気」ではないかとの見方が広がっている。内側から崩れ始めた高市内閣の現状を浮き彫りにする2人の重要人物の離反が、政局を揺るがしている。
麻生副総裁と鈴木幹事長の離反
皇族養子を盛り込んだ皇室典範改正法の今国会での成立は、男系男子を主張する自民党の麻生太郎副総裁の悲願だ。麻生氏と「一心同体」といわれる森英介衆院議長は7月1日、皇室典範改正法の今国会内での成立を最優先し、ほかの2法案を野党が国会に復帰するために「互譲の精神」で話し合うことを求めた。麻生氏の義弟である自民党の鈴木俊一幹事長も2日、中道改革連合の階猛幹事長に同法案を審議する間は衆院定数削減法案と副首都構想関連法案の審議を止めることを提案した。
維新の怒りと関係悪化
これを面白く思わないのが日本維新の会だ。衆院選では共闘関係を築いていた自民党と維新だが、足元では関係がこじれ始めている。彼らが「政治改革のセンターピン」とする衆院定数削減法案や、党のアイデンティティーともいうべき副首都構想関連法案を軽視されただけではない。男系男子の皇統を維持するために皇室養子は年齢制限を付けるべきではないという考えの藤田文武共同代表は、6月30日に麻生氏や自民党の小林鷹之政調会長と院内で会談し、養子皇族の年齢要件(15歳以上)を飲まされた。こうした自民党の“裏切り”に怒り心頭となった同党の吉村洋文代表は2日、「今回法案提出して、それも連立合意に書き、そしてその総選挙を経たわけだから、やり切るのは当たり前だ」と抵抗。吉村氏は大阪府知事として7日の北陸新幹線建設に関する与党会合に出席するために上京するが、高市首相に直談判する可能性もある。
参院自民党のくすぶる不満
それでも、7月17日の会期末までにすべての法案が通るとは限らない。だから憲法第59条第4項の「みなし否決」を利用する「60日間会期延長論」まで飛び出たわけだが、これには参院自民党からも「参議院の軽視だ」との批判が噴出した。鈴木俊一幹事長は6月29日の会見で「会期内で成立させるという基本方針に変わりない」と述べ、会期延長を事実上否定。萩生田光一幹事長代行も6月30日の会見で「国会において野党の理解を得る努力を重ねながら、閣法、議員立法すべての提出予定法案の会期内成立に全力を尽くすことが政権与党としての責務だと考えている」とぼやかした。実際には「特別国会は2度延長できるので、小出しに会期を延長するのではないか」という声が多い。



