高市早苗首相が2月の衆院選で掲げた「食料品の消費税率ゼロ」公約を具体化するため、超党派の「社会保障国民会議」で議論が進められてきた。しかし、6月24日に示された中間取りまとめ案を巡り、自民党内から異論が噴出。財源議論の先送りや党内の路線対立が表面化し、先行きは不透明だ。
中間取りまとめ案の内容と野党の反発
議長役を務める自民党の小野寺五典税調会長が提示した中間取りまとめ案の柱は2点。①2029年度に給付に絞った「給付付き税額控除」を導入、②それまでのつなぎとして2027年4月から2年間限定で飲食料品の消費税率を1%に引き下げる、というものだ。
この案は高市首相の「早期に実行可能な1%への減税」発言を事実上容認した形だが、首相は減税実現の前提条件として「野党の協力」を挙げていた。しかし、野党側は「意見が反映されていない」などと一斉に反発。前提条件は満たされず、実務者会議は「論議を進めようがない」との声が上がる事態となった。
自民党内で噴出する異論「小渕の乱」
党内でも反発は大きい。自民党税調の小渕優子副会長は減税反対の立場から、同税調の最終意思決定を担う「インナー(非公式幹部組織)」の辞任を表明。党内では「小渕の乱」と呼ばれるこの動きは、路線対立を印象づけた。
税調幹部は「税調自体の機能不全が露呈した」と指摘。党執行部も「このままでは小野寺案での早期取りまとめは困難」と不安と危惧を広げている。小渕氏の辞任は、党内の亀裂を深める結果となった。
財源議論は先送り、野党から批判
6月26日の実務者会議で、小野寺氏は財源確保策について「来年度予算を編成する年末にかけて決める」として結論を先送り。取りまとめ案では「財源については特例公債(赤字国債)に頼らず、補助金・租税特別措置の見直しや追加的な税外収入などで確保する」とした上で、「詳細は年末にかけての予算編成改革を具体化する中で結論を得る」と追記した。
この先送り姿勢に野党からは「2年後に元に戻せば大増税になる」との批判が噴出。財源の裏付けがないままの減税案は、将来的な増税リスクを抱えることになる。
今後の半月が政権の浮沈を左右か
高市首相にとって、食料品減税は看板政策の一つ。しかし、党内の反発と野党の協力欠如により、早期実現は困難な状況だ。今後の半月で、小野寺案の修正や与野党協議の行方が注目される。政権の浮沈を左右する可能性もある。
ジャーナリストの泉宏氏は「首相の発言で議論はさらに混乱した」と指摘する。党内の調整がつかないまま、野党との協力も得られなければ、減税案そのものが頓挫するリスクもはらんでいる。



