サッカーワールドカップ(W杯)北中米大会で、中国代表チームは出場していないものの、中国企業が圧倒的な存在感を示している。FIFA(国際サッカー連盟)の公式スポンサーには、家電大手のハイセンス、パソコンメーカーのレノボ、乳製品大手の蒙牛乳業が名を連ね、開会式には玩具メーカーのポップマートが手がけるキャラクター「LABUBU(ラブブ)」が登場した。
中国企業の役割が変化
中国企業とW杯の関係は、従来の単なるスポンサーシップから、技術やサービスで大会を支える形へと進化している。かつてはスタジアムに漢字の看板を並べるだけだったが、今では大会のインフラそのものを提供する立場になっている。
その代表格がハイセンスだ。同社は2016年のUEFA欧州選手権でスポンサーとなったのを皮切りに、2018年のW杯にも協賛。以降3大会連続でFIFA公式スポンサーを務めている。
ハイセンスの海外事業統括会社「ハイセンスグローバルマーケティングセンター」の方雪玉社長は、国際的なスポーツ大会に協賛する理由について、「文化や言語の違いを超えて、ブランドや製品の魅力を直感的に伝えられるうえ、消費者と一体となって大会を応援できる」と語る。
VAR設備への採用
特筆すべきは、ハイセンスの製品がビデオ判定システム(VAR)のディスプレー設備に採用されたことだ。これにより、同社は単なるスポンサーから、試合の正確な判定を支える技術パートナーへと位置づけを高めた。
この動きは、日本企業に代わって中国企業が世界市場で存在感を増している象徴とも言える。かつてW杯の広告はソニーやパナソニックなど日本企業が目立っていたが、近年は中国勢が取って代わりつつある。
ハイセンスの取り組みは、ブランド認知度向上から実力証明へのシフトを示しており、他の中国企業にも影響を与えている。W杯は世界市場への入場券として機能し、中国企業はその舞台で技術力をアピールしている。
世界市場への影響
グローバル化を進める企業にとって、W杯はブランド力を高める絶好の機会だ。ハイセンスは欧州サッカー選手権からの継続的なスポンサー活動を通じて、欧州市場での認知度を向上させてきた。今回のVAR採用は、その戦略が実を結んだ成果と言える。
中国企業のこうした動きは、日本企業にとっても脅威となり得る。かつて家電や電子機器で世界をリードした日本企業は、今や中国勢に追い上げられている。W杯のような大舞台での技術提供は、その実力を世界に示す有効な手段となっている。



