大阪大学では、2017年に不正アクセスによる教職員や学生、一部の学外関係者の個人情報約8万件が漏洩するインシデントが発生した。この事故を機に、同大のセキュリティ対策は加速度的に強化された。同大の最高情報セキュリティ責任者(CISO)であり、情報セキュリティ本部長も務める猪俣敦夫教授(D3センター教授)が、大学ならではのセキュリティ課題や現在の体制について語った。
大学特有のセキュリティ課題
猪俣教授は、大学は教職員や学生が多く「個人情報の宝庫」である一方、企業に比べて部署数が膨大で管理が行き届かず、運用が疎かだったことを認める。「それでも何とか問題なくやれてきたのですが、とうとう事故を起こしてしまったのです」と振り返る。
また、大学は企業との共同研究で遺伝子ゲノム情報など高度な研究データを扱う。17年の事故では幸い知的財産情報は守られたが、もし漏洩すれば共同研究先に甚大な損害を与え、裁判リスクもあったという。
セキュリティチーム「OU-CSIRT」の体制
現在のセキュリティチーム「OU-CSIRT」は教員と技術系職員など8名ほどで構成。特定の部局に偏らないよう、各部局からネットワークに詳しい人を推薦する形を取っており、全員が本来の業務と兼務している。
インシデント後は対応・報告ルートを明確に定め、メンバーには「何かあったら些細なことも含めてとにかく早く連絡をくれ」と徹底。猪俣教授は「迅速な情報共有があれば、関係各所に連絡できますし、警察とも連携できます。初動が大事だと常々伝えています」と話す。



