1990年代初頭、企業系大学といえば、豊田工業大学(豊田工大)と神戸市の流通科学大学が真っ先に挙げられた。流通科学大は当時、関西の最難関私立大学である関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)に匹敵する難易度を誇り、実学系大学の象徴的存在だった。しかし、設立母体であるダイエーの経営不振に伴い、入試難度が大きく低迷。企業ブランドと大学ブランドが強く結びつくがゆえに、一方の動向がそのまま他方に波及する構造が浮き彫りとなった。
流通科学大学の復調と再評価
流通科学大は近年、志願者数が回復傾向にある。入学後4年かけて行われる独自の教育プログラム「夢の種プロジェクト」などの改革が進展。また、もともと就職に強いという特性もあり、塾関係者から再評価の動きが見られる。現在の関西私大では大和大学の人気が際立つが、一部の塾関係者は「次の大和大になる可能性を秘めた注目度の高い大学の1つ」として流通科学大の名前を挙げている。
この一連の流れは、企業系大学が「企業ブランドの恩恵を受けられる」というメリットと、「企業の状況に左右される」というデメリットを同時に抱えることを示している。
数は東、認知は西:地域による違い
企業系大学の分布には地域差がある。東日本では数が多い一方、西日本では認知度が高い傾向にある。例えば、東京都市大学は東急グループの一角を担い、実学志向の教育で知られる。一方、豊田工大はトヨタグループの支援を受け、工学教育に特化。これらの大学は、親企業のブランド力を活用しつつ、独自の教育プログラムで差別化を図っている。
4年制化で大化けも:今後の展望
企業系大学の中には、短期大学から4年制大学への移行により、大きく成長した事例もある。実学志向の強さが就職に直結するため、学生や保護者からの支持を集めやすい。しかし、親企業の経営状況が大学の評価に直結するリスクは常に付きまとう。今後、企業系大学が持続的に発展するためには、親企業への依存度を下げ、独自のブランドを確立することが鍵となるだろう。



