「働かないオジサン」より嫌われる…無駄に働きすぎる上司が増やす不要な会議
無駄に働きすぎる上司が増やす不要な会議

「働かないオジサン」よりも嫌われる存在がいる。それは、よかれと思って「無駄に働きすぎるオジサン」だ。同志社大学名誉教授の太田肇氏は、「『忙しそうな上司』を演じて無駄に働くという戦略は最悪だ。組織のスピードを削ぎ、不要な業務を再生産し、部下のやる気を削ぎ落とすことになるからだ」と指摘する。

日本のオフィスは「見られている」舞台装置

日本の共同体型組織を視覚的に象徴しているのが、壁も仕切りもない「大部屋・島型」のオフィスレイアウトだ。「島型」のデスクで、背後を上司が通り過ぎるたびに、無意識にブラウザを切り替えたり、キーボードを叩く音を大きくしたりした経験はないだろうか。このオフィスに漂う「見られている」という感覚こそが、私たちの創造性を奪い、一日中「勤勉な社員」を演じさせる舞台装置として機能しているのだ。

欧米をはじめ諸外国のオフィスでは、個人のデスクはパーティションで区切られ、プライバシーが一定程度確保されているのが普通だ。自分のスペースには家族の写真を飾り、好みの照明を置くなど、「組織の中にある個人の城」という様相を呈する。さらに、管理職には個室が与えられ、集中と権威が物理的に守られている。

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同僚と上司の視線にさらされ続ける環境

対照的に日本では、同じ課やグループのメンバーが向かい合わせになり、視線を遮るもののない平場で顔を突き合わせて仕事をする。昨今はパソコン画面を見つめる時間が長くなったとはいえ、横や後ろからの視線は常に存在する。管理職もまた、部下たちを横から一望できる「島」の端に陣取る。

このレイアウトは、情報の共有が早いうえ、上司が部下の仕事ぶりを常に観察でき、集団主義的な日本企業に最適だとかつては称賛されてきた。しかし社員の心理という側面から見れば、これは一日中、同僚と上司の視線にさらされ続ける環境にほかならない。

一般社員にとって、この環境は逃げ場のないプレッシャーを生む。自分の仕事がどれほど効率的に片付いていても、周囲が眉間にしわを寄せてキーボードを叩いていれば、席を立つことは「裏の承認」を自ら放棄するに等しい勇気を要する。「トイレに行くにも気を使う」とか、「終業時刻が近づくと、『お先に失礼します』と口にするタイミングを計るだけで胃が痛くなる」といった若手の悲鳴は、けっして誇張ではない。

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