経済産業省は2027年度の税制改正で、地域住民の生活に欠かせない小売りやガソリンスタンドといった「エッセンシャルサービス(ES)」を維持・確保していくため、税負担を軽減する新たな特例措置を要望する。人口減少で需要の低減が見込まれる中、設備投資や事業承継、店舗統合などを支援することで小売り事業者などを支えていく考えだ。
税負担軽減の具体的内容
今月末にまとめる税制改正要望に盛り込む。自治体などがESを担う事業者と認定した小売店やガソリンスタンドなどを対象に、登録免許税や不動産取得税、固定資産税を軽減し、事業の継続を支援する内容だ。
たとえば、同じ地域にある店舗を統合して新たな大型店を整備することで、業務を効率化する際の不動産取得税や、後継ぎが見つからず、他の企業などに事業を継承する際の登録免許税などが想定されている。新会社の設立やガソリンスタンドなどの設備更新などに伴う固定資産税も対象とする。
背景にある供給不足への懸念
地域で生活の基盤となっている様々な事業について、継続や効率化を促し、地域の生活を支えるのが狙いだ。背景にはES事業者の不足が経済成長や維持の足かせになるとの懸念がある。
経産省の有識者会議が25年10月に示した試算によると、2040年時点で期待される実質国内総生産(GDP)の750兆円のうち、ESの供給不足によって最大で約76兆円が失われる恐れがある。
既存の支援策と今後の方針
ESの供給不足による16兆円の直接的な押し下げに加え、生活環境の悪化や産業の担い手となる働き手の流出などでほかの産業にも60兆円のGDP押し下げが想定されている。
ES事業者への支援を巡っては、すでに政府が今年の特別国会で産業競争力強化法を改正。事業を効率化して採算性を高めようと取り組むES事業者に対し、低金利の融資や債務保証などを受けやすくする金融支援の制度を創設し、秋にも施行となる。経産省は新たな特例措置を設けることで、ES事業者の経営安定につなげる方針だ。



