熊本地震の影響で一部区間が通行止めとなっていた九州自動車道は14日、全線で通行が再開した。これを受け、物流は正常化に近づき、スーパーなどの小売業者や運送業者から歓迎の声が上がっている。一方で、南九州道や八代港、一部の鉄道では復旧の見通しが立っておらず、完全な正常化にはなお時間がかかりそうだ。
小売業者や運送業者から歓迎の声
鹿児島市内のスーパーを運営する「ハルタ」の迫良一常務は、「とりあえず、一安心だ」と九州道の復旧に安堵した様子を見せた。7月28日の地震発生後、道路の寸断などから約1週間商品不足が生じ、直近でも一部の商品の到着が遅れていたという。迫常務は「ほぼ元通りになるだろう」と期待を寄せる。
九州道は九州を南北に貫く物流の大動脈で、最後まで通行止めとなっていた松橋インターチェンジ(IC、熊本県宇城市)―えびのIC(宮崎県えびの市)間は約80キロに及び、九州南部への輸送に大きな影響が出ていた。
代替輸送から通常輸送へ
ヤマト運輸は、フェリーや航空便で関東や関西から宮崎、鹿児島両県に直接荷物を届ける代替輸送を実施していたが、九州道の再開を受け、14日から九州全域でトラックによる輸送を再開した。熊本県八代市や氷川町一帯では渋滞などで集荷や配達が遅れる可能性があるものの、「ほとんどの地域では正常化した」(広報)としている。
鹿児島県トラック協会によると、多くの運送会社は鹿児島―福岡間の輸送で東九州道に迂回する対応を取っていた。通常4時間程度の所要時間が6~7時間に延び、「慣れない道を走るドライバーの負担も大きい」と鳥部敏雄会長は語っており、再開を歓迎した。
なお残る復旧の見通せない区間
一方で、九州道の八代ジャンクション(JCT、熊本県八代市)から分岐して熊本、鹿児島両県の西側を走る南九州道では、同JCT―田浦IC(同県芦北町)間の約20キロで通行止めが続いている。南側の八代南IC(八代市)―田浦IC間は8月後半に再開の見通しだが、残る区間は段差が生じた影響などで復旧が見通せない。
鉄道では、九州の南北をつなぐJR鹿児島線と肥薩おれんじ鉄道の一部が不通のままで、貨物輸送に大きな影響が出ている。JR貨物は鹿児島市から北九州市方面への輸送の一部にトラックを使い、普段は使わないルートに迂回するなどして、所要時間が大幅に延びた。また、国際港湾の八代港も岸壁やクレーンに損傷が見つかり、ほとんどのバースが物流に使えない状況が続いている。日本通運を傘下に持つNIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は代替輸送の手配を進めている。
鉄道や船舶は大量の物資を比較的安価に輸送するのに適しているとされ、復旧が長期化し、代わりのトラック輸送などを余儀なくされる企業では、輸送コストの上昇につながる懸念もある。



