与党は、年金制度の持続可能性を高めるための改革法案を、今国会に提出する方針を固めた。複数の与党関係者が明らかにした。法案の柱は、年金の受給開始年齢の選択肢を現在の60~70歳から65~75歳に拡大することや、保険料の見直しなどだ。
受給開始年齢の柔軟化
現在は、原則65歳からの受給開始だが、60~64歳で受け取る場合は減額、66~70歳で受け取る場合は増額される。改正案では、この選択幅を65~75歳に拡大し、より高齢での受給開始を促すことで、一人当たりの受給額を増やし、制度の安定化を図る。
また、現行制度では、70歳以降に受給開始を繰り下げた場合の増額率は、1カ月当たり0.7%だが、法案ではこの率を引き上げる方向で調整が進められている。具体的な数値は今後詰められるが、受給開始を遅らせるインセンティブを強化する狙いがある。
保険料の見直しと財源
保険料については、現役世代の負担を軽減するため、標準報酬月額の上限を見直す。現在は、月額62万円が上限だが、これを段階的に引き上げ、高所得者の保険料負担を増やす方向だ。これにより、年間数千億円の追加収入を見込む。
さらに、基礎年金の国庫負担割合を現在の2分の1から3分の2に引き上げることも検討する。これには、消費税率の引き上げや、歳出改革による財源確保が必要となる。
働き方の多様化への対応
法案には、短時間労働者やフリーランスなど、多様な働き方への対応も盛り込まれる。具体的には、厚生年金の適用拡大を進め、従業員数が100人以下の企業でも、週20時間以上働く短時間労働者を対象に含める。これにより、非正規雇用者の年金受給額を増やす。
また、フリーランスについては、国民年金に加えて、任意で加入できる「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の加入要件を緩和し、掛け金の上限を引き上げる。
今後のスケジュール
与党は、今国会への法案提出を目指し、与党協議を加速させる。ただ、野党は「十分な審議が必要」と反発しており、国会審議は難航が予想される。政府・与党は、年内の成立を目指す方針だ。
年金改革を巡っては、昨年、有識者会議が「マクロ経済スライド」の見直しなどを提言していた。今回の法案は、この提言を踏まえた内容となっている。



