コメ価格高騰で再燃するJA批判、その背景にある「利権アレルギー」と組織の実態
コメ価格高騰で再燃するJA批判と利権アレルギー

一昨年来、米不足と米価高騰を契機に、メディアや一部専門家によるJA(農業協同組合)への批判が激しさを増している。農家・農業ライターのSITO.氏は、この現象について「米価高騰の仕組みを単純化したほうがわかりやすく、伝わりやすいからではないか」と分析する。本稿では、JA批判の本質と、組織の実態、そしてもしJAがなくなった場合の影響について考察する。

JAは本当に不要な組織なのか

一昨年以降、メディアや専門家から「JAという巨大組織が暴利を貪り、生産者を苦しめ、米不足や米価高騰を招いている」との批判が続き、最近では「JA不要論」にまで発展している。しかしSITO.氏は、そうした主張の多くが「JAを解体すればいい」という粗いもので、JAが担う多様な役割について具体的な代替案を示すものは極めて少ないと指摘する。

農家が支え合うための協同組合

JAの正式名称は「農業協同組合」であり、公的機関でも民間企業でもなく、農家が相互扶助のために設立した協同組合である。JAは以下のような幅広い役割を担っている。

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  • 農産物の流通・販売:農家が生産した米や野菜、果物を集荷し、品質・安全性を確認した上で卸売市場や量販店へ販売。個々の農家では困難な大口取引や販路開拓を代行する。
  • 生産資材の供給:肥料、農薬、飼料、農業機械などを共同購入し、コスト削減と安定調達を実現。
  • 営農指導:専門職員が栽培技術や病害虫対策、経営改善について助言し、農家の安定生産を支援。
  • 金融・保険サービス:JAバンクによる貯金・融資、JA共済による保険事業を運営。農業資金から住宅ローン、生活保障まで幅広くカバー。

さらにJAは、スーパーや直売所、ガソリンスタンドの運営、健康相談、食育活動、高齢者支援、防災協力などを通じて地域社会、特に人口減少が進む地方のインフラとしても機能している。

批判の根本は「利権アレルギー」

SITO.氏は、JA批判の背景に、日本社会に根強い「利権アレルギー」があると指摘する。特に、JAと農林水産省、農業族議員による「農政トライアングル」が、非効率な農業政策を温存し、消費者に不利益をもたらしているという批判は根強い。しかし、農業問題の複雑な構造を、単純に「JA悪玉論」で語る風潮には注意が必要だと警鐘を鳴らす。

もしもJAがなくなればどうなるか

仮にJAが解体された場合、個々の農家は流通・販売、資材調達、金融、営農指導などの機能をすべて自前で確保しなければならなくなる。特に零細農家が多い日本の農業において、これは極めて困難な課題である。また、地方の過疎地域では、JAが唯一の金融機関やガソリンスタンドとして機能しているケースもあり、JAの消滅は地域社会そのものの存続を脅かす可能性もある。

消費者も無関係ではいられない

SITO.氏は、JA批判の背景には、消費者が「安いコメ」を求める一方で、農業の実態や食料安全保障への関心が低いという構造的な問題があると指摘する。JAの役割を正しく理解し、農業政策や食料自給率について議論することなく、単にJAを敵視するだけでは、持続可能な農業の未来は描けないと結論づけている。

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