ポーランドの強硬右派カロル・ナブロツキ大統領は19日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に授与されていたポーランド最高位の勲章「白鷲勲章」を剥奪した。両国間の歴史認識をめぐる対立が背景にある。
発端は軍部隊の命名
今月、ゼレンスキー氏は第2次世界大戦時にポーランド人虐殺に関与したウクライナ民族主義組織「ウクライナ蜂起軍(UPA)」にちなみ、ウクライナ軍特殊部隊を「UPAの英雄たち」と命名。これがポーランド側の強い反発を招いた。
ポーランドは侵攻するロシア軍と戦うウクライナにとって重要な支援国であり、数十万人の避難民を受け入れ、西側の支援拠点となってきた。しかし、第2次大戦の記憶をめぐる問題で両国関係はしばしば緊張してきた。
復興会議前に強行
ナブロツキ大統領は、ウクライナ側やポーランドのドナルド・トゥスク首相が対立激化を避けるよう要請していたにもかかわらず、北部グダンスクで25~26日に開催予定の「ウクライナ復興会議」直前に剥奪を強行。ゼレンスキー氏の会議出席は不透明となっている。
大統領は声明で「歴史的真実が交渉の材料になることはない。犠牲者の追悼はポーランドの道徳的義務だ」と述べ、ウクライナ側に部隊名の撤回を求めたが応じなかったと説明。「ウクライナ軍部隊を『UPAの英雄たち』と命名することにゼレンスキー大統領が同意したため、白鷲勲章を剥奪する」と述べた。
ウクライナ側の反発
ウクライナ側はこの決定を「ロシアだけが利益を得る戦略ミス」と非難。アンドリー・シビハ外相は「不当で衝動的、敬意を欠いたもの」と批判し、自身が2022年にポーランドから授与された勲章を返上する意向を示した。
UPAは1943~1945年、現在のウクライナ北西部(戦前はポーランド領)でポーランド人民間人数万人を虐殺した。ナブロツキ大統領は「UPAを賛美する決定は言語道断で、和解を損なう」と批判。
首相は冷静な対応求める
ナブロツキ大統領と対立するトゥスク首相は、ゼレンスキー氏の部隊命名を「誤った決定」としつつ、ゼレンスキー氏から「ポーランド人の感情を害する意図はなかった」と釈明されたと述べた。首相は両国に「歴史が未来を壊さないよう」呼び掛けた。
ポーランドには数百万人のウクライナ人が暮らし、最近は反ウクライナ的事件も発生。活動家らは排他的言動のエスカレートを警告している。



