パスカル・マーティ氏、チリで日本酒酵母ワイン「ぎんの雫」を生み出す哲学
パスカル・マーティ氏、チリで日本酒酵母ワインを生む哲学

世界最高峰のワイナリー「シャトー・ムートン・ロートシルト」や「オーパス・ワン」でキャリアを積んだ醸造家パスカル・マーティ氏。現在はチリで自身のワイナリー「ヴィニャ・マーティ」を運営し、日本酒酵母を使った革新的なワイン「ぎんの雫」で注目を集めている。彼がチリを選び、日本文化との融合に挑んだ理由と哲学を聞いた。

ワインの新世界「チリ」を選んだ理由

パスカル・マーティ氏は、伝統的なワイナリーでの経験を活かしつつ、自由な表現を求めてチリに拠点を移した。ヨーロッパの厳格な規制に対し、チリは「禁止されていないことは何をやってもいい」という自由さがあるという。また、チリは政治的混乱から遠く、環境も良好で、醸造家として自分を表現するのに最適な場所だと感じた。

チリの土壌は多様で、火山や地殻変動の影響を受けており、特にフィロキセラの被害を受けていない自根のブドウが残っている点が特徴。これにより、ボルドーの古き良き時代の純粋な品種特性が表現される。

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カルメネールへの愛着

マーティ氏はカルメネールを最も好きな品種と語る。元はボルドーの品種だが、ヨーロッパでは雨に弱く育てにくい。しかしチリの乾燥した気候と日照が、滑らかなタンニンと複雑味を持つ素晴らしいワインに仕上げる。

日本文化との融合「ぎんの雫」

「ぎんの雫」は、日本醸造協会と『神の雫』原作者の亜樹直氏、マーティ氏が協力し、日本酒酵母を使用して作られた超低温発酵ワイン。きっかけは旭酒造の桜井会長から「日本酒の酵母は低温で活動できる」と聞いたこと。完成したワインはフローラルな香りと塩味、旨みが特徴で、革新的な味わいだ。

日本食との相性も良く、生のサーモンにはソーヴィニヨン・ブラン、スチームサーモンにはシャルドネ、グリルサーモンにはピノ・ノワールが合う。神戸牛のような脂の乗った肉には力強い赤ワインが推奨される。

ワインの未来と健康

若者のアルコール離れが進む中、マーティ氏はワインを「食事」の一部と捉え、適量なら健康的だと強調。若い世代にはまず体験してほしいと語り、ワインが人生を豊かにし、食事を美味しくする機会が増えることを願っている。

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