皇族数確保のための改正皇室典範が7月17日に成立した。成立に尽力した自民党の麻生太郎副総裁に対し、「麻生家が天皇の外戚となり、令和の藤原氏になる」との批判が広がっている。皇室ライターの中原鼎氏は「養子となる男性に麻生家の血は流れておらず、この批判は成り立たない。こうした言説こそ養子案への不信を広げ、本来、静謐であるべき皇室議論の環境を壊した」と指摘する。
麻生氏の「最後のご奉公」と突然の外戚批判
改正までの道のりは平易ではなかった。直前まで日本維新の会が「15歳という年齢制限」に強く反対しており、与党の足並みも乱れていた。そんな状況を変えた立役者の一人が麻生氏で、自民党の責任者として「強く伏してのお願い」をし、維新を説き伏せた。
麻生氏は所信表明演説で「かしこくも御名御璽をいただき」と述べた戦後唯一の首相で、祖父の吉田茂元首相の薫陶を受け、皇室への思いは並々ならぬものがある。現在85歳の現職国会議員として最高齢であり、いつ政界引退しても不思議ではない年齢での尽力は「最後のご奉公」と感じられたと中原氏は謝意を表す。
「麻生家は藤原氏」論の拡散とその問題点
麻生氏は令和5年に「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」の座長を務め、議長公邸での全体会議にも欠かさず出席するなど存在感を示してきた。そのため「愛子天皇」論者から憎まれてきたが、ここ数カ月で憎悪は過激化している。
麻生氏は三笠宮家の故寛仁親王に嫁がれた信子妃殿下の兄としても知られる。SNSでは「養子を迎え入れた三笠宮家が天皇を輩出した暁には、その『外戚』として君臨したいという野望を持っている」といった主張が飛び交い、「唯一の派閥の長として絶大な権勢を振るう麻生氏が、さらなる栄華のために政権与党を動かしている」という政治的ナラティブが共有されつつある。
中原氏は、養子となる男性に麻生家の血は流れておらず、外戚批判は成り立たないと指摘。皇位継承論争に起因するネガティブキャンペーンで秋篠宮家が苦しめられてきたことを踏まえ、「野放しにしては皇室の未来に禍根を残しかねない」と警鐘を鳴らす。
皇室議論の「静謐な環境」の破壊
中原氏は、こうした言説が養子案への不信を広げ、静謐であるべき皇室議論の環境を壊したと結論づけている。皇位継承の安定を実現するためには、根拠のない批判を封じ、冷静な議論が必要だとしている。



