日本は先の大戦で、軍人、民間人合わせて310万人の同胞を失った。81回目の終戦の日に、全ての御霊の安らかならんことを心から祈り、国を守ろうと命を捧げた英霊に感謝の思いを伝えたい。
安全保障環境は厳しく、いつか「終戦の日を迎えた」と言えなくなる恐れさえある。現代日本は、中国、ロシア、北朝鮮という反日的で核武装した専制国家に囲まれている。冷戦期の緊張の主正面は東西ドイツ国境だったが、今は台湾海峡や東シナ海に移った。日本有事に直結する台湾有事の恐れは消えず、プーチン露大統領は不法占拠する北方領土に上陸した。周囲の専制国家は「力の信奉者」で、日本が一定の防衛力を持たなければ話し合いにも応じない。憲法前文が言う「平和を愛する諸国民の公正と信義」は見当たらず、平和を希求する日本は抑止力と対処力を向上させ、同盟・同志国との連携を強めるしかない。
安保関連3文書の前倒し改定
高市早苗政権は今年、国家安全保障戦略など安保関連3文書を前倒しで改める。防衛費増額も俎上に載せる。これを嫌う中国は、高市首相の台湾有事を巡る発言を曲解して日本を「新型軍国主義」と批判し、露朝も同調している。
抑止力の効果は相手国が日本をどう見るかで変わる。国民が国を守る気概、尚武の気風を示すことは欠かせない。戦後の日本では戦没者が「気の毒な被害者」という文脈で語られることが多かったが、慰霊と同時に、英霊が勇敢に戦ったことに感謝し顕彰することが必要だ。戦後の日本に足りなかったものである。
硫黄島の英雄たち
昨年3月、硫黄島で日米合同慰霊式が行われた。参列したヘグセス米国防長官(歩兵将校出身)は、激戦で倒れた日米の将兵を悼み、「栗林忠道中将は部下に『君たちの栄誉ある戦いは決して忘れられることはない』と断言した。私たちが今日ここにいるのは、日米の戦士の名誉と勇気を忘れないためだ」と演説した。また「この地で英雄たちが生まれた。その記憶は戦争の恐怖と代償を思い出させる。その勇敢な模範は私たちを鼓舞し、決意を固めさせる」と述べた。翌日には防衛省で「昨日の式典でも見た通り、自衛隊と米軍は先人からの戦う精神、名誉あるレガシーを引き継いでいる」と語った。
戦った相手の米国の国防長官が、双方の将兵は英雄で、彼らの勇戦が日米同盟を強めていると認めている。日本は頼むに足る同盟国だということだ。
政治リーダーに足りない言葉
筆者は戦後50年の平成7年3月、硫黄島での日米合同慰霊式を取材した。日本軍の地下壕に入り、最後まで戦った将兵を思い、感謝と畏敬の念が湧いたのを覚えている。昨年の式典で石破茂首相(当時)は「祖国のために戦われた方々の英霊に敬意を表すると共に、わが国の平和への誓いを新たにしたい」と述べたが、加えて「平和が破られれば、今の世代も子孫のため、皆さんを見習って日本を守り抜く」という誓いがほしかった。石破氏に限らず、現代日本の政治リーダーに足りない言葉である。
高市首相と閣僚には靖国神社に参拝し、慰霊と顕彰の誠を捧げてほしい。これは日本と英霊の約束であると同時に、日本を守る確かな意思を示すもので抑止力を高める。英霊が願った独立と平和に資する道なのだ。



