兵庫県内部告発問題、2年経ても続く分断…県議「批判するとSNSで『反知事』のレッテル貼られる」
兵庫県内部告発問題、2年経ても続く分断…県議「批判するとSNSでレッテル貼られる」

兵庫県内部告発問題、2年経過も分断続く…議会追及減るもSNSで批判封じ

兵庫県の斎藤元彦知事に関する内部告発文書の存在が明らかになってから、27日で2年が経過した。県議会での追及は減少傾向にあるが、県内では依然として斎藤氏への抗議デモが行われたり、批判的な県議への誹謗中傷が続いたりしており、問題の余波が収まる気配はない。

議会での質疑時間が激減…県議からは徒労感の声

2月24日の県議会本会議での代表質問では、第4会派「ひょうご県民連合」の上野英一幹事長が「知事には、非を非と認めてもらわなければ」と述べ、公益通報制度への認識などをただした。これに対し斎藤知事は「適切に理解して対応している」と従来通りの答弁を繰り返した。

読売新聞の調査によると、県議会本会議の代表質問における主要4会派の内部告発問題に関する質疑時間は、昨年6月議会では第2会派「維新の会」を除く3会派で計約23分半、同年9月議会では4会派で計約19分半だった。しかし今年2月議会では、最大会派の自民党が約3分、県民連合が約1分半に減少し、維新と第3会派の公明党は質疑を行わなかった。

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県民連合の県議は取材に対し、「質問しても、知事の答弁が何も変わらない。権力の監視は議会の責務だが、むなしく感じる時もある」と徒労感を口にした。公明党の県議は「そろそろ問題を収束させ、政策の議論に専念したい」と語っている。

「反知事」レッテル貼られる恐怖…県議選控え発言萎縮

自民党の県議は、内部告発問題への受け止めが支持者の間で分かれていることを明かし、「知事を批判するとすぐにSNSで『反知事』のレッテルが貼られる。来年春には県議選も控えており、いつまでも問題を引っ張りたくない」と本音を語った。

この内部告発問題は2024年3月、前県西播磨県民局長(2024年7月に死亡)が報道機関などに、斎藤氏のパワハラ疑惑などを指摘した告発文書を送付したことで始まった。県は前局長から事情を聞き、公用パソコンを調べて告発者だと特定した。

第三者委がパワハラ10件認定…知事は「適切対応」主張続ける

斎藤氏は2024年3月27日の記者会見で文書の存在を明らかにし、「事実無根の内容が多々含まれている。業務時間中に『うそ八百』を含め、文書を作って流す行為は公務員として失格だ」と述べた。県は同年5月、前局長を他の3件の不適切な行為と合わせ、停職3か月の懲戒処分とした。

しかし、県の第三者委員会は昨年3月に公表した調査報告書で、斎藤氏による10件のパワハラ行為を認定。県の対応は内部告発者を保護する公益通報者保護法に違反すると結論付けた。

斎藤氏はパワハラについては謝罪したが、県の対応については一貫して「適切だった」との認識を示してきた。今月24日の記者会見でも、「初動から懲戒処分まで、弁護士などと相談しながら慎重に進めた。私の認識としてはこれまで申し上げている通り、適正・適切・適法に対応してきた」と述べた。

神戸で抗議デモ…県民からは「分断解消を」の声

神戸市内では今月22日、斎藤氏の辞職を求めるデモ行進が行われ、約850人(主催者発表)が参加した。現場では斎藤氏の支持者とみられる人が、デモの参加者に抗議する場面もあった。

県民からは、混乱の収束を求める声があがっている。神戸市長田区の会社員男性(27)は「財政難への対応や子育て支援など取り組んでほしい課題はたくさんある。分断を早く解消し、建設的な政策議論に注力できるよう、知事も県議会も努力してほしい」と話した。

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追及県議へのネット中傷やまず…殺害予告メールも

斎藤氏を追及した県議会百条委員会のメンバーには、今もインターネット上で中傷が絶えない。委員だった丸尾牧県議(61)は、SNS上で「騒動の首謀者」などの中傷を受け続けている。

今年1月には登壇予定だったフォーラム会場に丸尾氏の殺害を予告するメールが届き、オンラインでの参加を余儀なくされた。丸尾氏はSNSの投稿約100件について情報開示請求を行い、今年2月末までに37件が開示決定された。

昨年9月には、X(旧ツイッター)の投稿で名誉を傷付けられたとして、丸尾氏がXの運営会社に投稿削除を求めた訴訟で、東京地裁が一部の投稿について削除を命じる判決を出した。

丸尾氏は「誹謗中傷すれば、その責任を問われると気づいてもらえるよう、発信し続けるしかない」と語る。委員長を務めた奥谷謙一県議(40)にも、少なくとも昨年12月頃から頻繁に「今年は誰が死ぬのかな?」などと書かれたメールが届いている。

奥谷氏は「いつまでこんなことが続くのか。SNSによる誹謗中傷で議員を萎縮させる行為は、一種の言論弾圧だ」と憤りをあらわにした。

専門家「県議会は県民に方針示す必要」

江藤俊昭・大正大学教授(地方自治)は「自ら設置した第三者委の結論を否定する斎藤氏の対応はあり得ないが、県議会も政局を優先して斎藤氏に不信任決議を突きつけ、県民の信頼を損なった」と指摘する。

さらに「県議会は第三者委の報告書が出て以降の質疑を総括し、今後斎藤氏とどう向き合うのか、県民に示す必要がある」と提言した。

兵庫県の内部告発問題は、単なる行政の問題を超え、県民の分断や議員への誹謗中傷といった社会問題に発展している。2年が経過した今も、解決への道筋は見えず、県政の正常化にはさらなる時間が必要な状況が続いている。