「この先の桜がきれいなんですよ」――社員の言葉に表れる沿線愛
「うちの沿線は、ええところなんですよ」。近鉄の駅係員や車掌が胸を張って語るこの言葉は、会社から強制されたものではない。日々その土地に立ち、人の流れを見て、季節の移ろいを感じ、地域とともに働いてきたからこそ自然と口をつくのだと、元近鉄広報マンの福原稔浩氏は語る。
501キロ・286駅――数字が物語る「日本一の私鉄」の規模
近鉄は営業キロ501キロ、286駅を有する日本最大の私鉄である。しかし、福原氏は「数字の大きさは結果に過ぎない」と強調する。その背後には、人と地域に向き合い続けてきた名もない日常の積み重ねが存在する。
観光列車に込められた「どう見てほしいか」という問い
観光列車もまた、「速く着くため」だけに走っているわけではない。地域の風景をどのように見てもらいたいのか、旅の時間をどんな気持ちで過ごしてほしいのか――そうした問いが企画やデザイン、サービスの一つひとつに込められている。
「鉄道は地域と一緒に時間を積み重ねてきた」という自負
福原氏は「私たちには『鉄道を走らせている』のではなく、『鉄道は地域と一緒に時間を積み重ねてきた』という自負がある」と述べる。近鉄社員の多くは近鉄と沿線を愛しており、その企業文化こそが「人間味」であり、長い時間をかけて培われた揺るがない強さだと指摘する。



