デジタル教科書の検定ルール議論開始、実験動画で「わかったつもり」懸念
デジタル教科書検定ルール議論、実験動画に懸念

デジタル教科書の検定ルール議論が本格化

文部科学省の教科書検定に関する審議会で、デジタル教科書の正式教科書化を見据えた新たな検定ルール作りが進んでいる。4月14日の会合では、委員からデジタル素材の扱いや検定の在り方について意見が相次いだ。

東京都立杉並高校の上村礼子校長は「理科で実験をしなくても、動画などが入っているのでよいという方向に流れないようにする審査が必要だ」と述べ、実際に手を動かす体験の重要性を強調。算数・数学では、動かせる図形を見て理解したと思い込む「わかったつもり」学習が広がる不安も指摘された。

検定新ルールの影響範囲

2030年度以降に使われる教科書は、デジタル導入の学年・教科を定める「大臣指針」と、国が内容をチェックする検定新ルールの影響を大きく受ける。文科省の審議会では動画や音声の検定方法が検討されているが、紙の教科書と異なり、刻一刻と変化するデジタル素材を十分確認できるかは不透明だ。

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現在の検定では、誤字脱字や学習指導要領との適合性がチェックされ、1教科で100か所以上の修正指摘がされることもある。適切な修正がなければ教科書として発行できず、この水準が新ルールで維持されるかが注目される。

動画の分量とコスト問題

デジタル教科書では動画などの分量も重要だ。現在の教科書1冊にはQRコード経由で十数秒から数分の動画が平均約50本含まれるが、新ルールでは動画総量を抑制する方針。具体的な基準は未定だ。

教科書会社は教育委員会への採択獲得競争が激しく、デジタル素材を増やしてアピールする企業が出る可能性もある。一方、動画1本の制作費は数十万円に上ることもあり、教科書価格の上限が国によって決められているため費用転嫁は困難だ。「デジタル化で資金力のある大手が有利になる『体力勝負』になるのでは」(教科書会社幹部)と寡占化を懸念する声も上がる。

専門家の指摘と今後の課題

法政大学の児美川孝一郎教授(教育政策)は「多くの教科書会社による多様な教科書が日本の教育の質を維持してきた。今後、教科書が寡占化されないか心配だ」と述べ、「子どもへの影響も含め、過度なデジタル化を防ぎながら、教科書会社の公平な参加を確保する仕組み作りが必要だ」と強調した。

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