米国とイランの戦闘終結に向けた合意が成立したものの、海外旅行が以前のような状態に戻るにはなお時間がかかると見られている。戦闘による航空路線の混乱や旅行需要の変化は、ホテル料金の大幅な値下げや航空便の減少など、観光業界に深い爪痕を残している。
スリランカの5つ星ホテルが半額以下に
メルボルンを拠点とする会員制旅行サイトLuxury Escapes経由の予約では、スリランカにおいて2025年には1泊あたり素泊まり400ドル程度だった5つ星ホテルが、2026年には1泊あたり200~250ドルに値下がりした。さらに、3食・アルコール・アーユルヴェーダスパ特典が含まれるなど、大幅な値引きが行われている。
モルディブやスリランカほどではないが、観光大国タイも欧州からの旅行者減少に直面している。タイでは欧州からの旅行者が全体の15~20%を占め、平均滞在日数が長いため、この比率以上に重要な市場となっていた。2026年4月、欧州からの観光客は前年比15.8%減少し、全体でも7%減少した。一方、中国からの観光客は32%増加、マレーシアからは15%増加と、近隣諸国への依存が強まっている。
タイ政府観光庁(TAT)は4月2日、今後は中国、マレーシア、インドなどの近距離市場に重点を移す方針を発表した。
日本でも欧州客減少の影響
日本でも、欧州からの観光客比率が高い地域で影響が顕在化している。日本経済新聞によると、宿泊客のインバウンド比率が約4割を占める高山では、4月14日までに宿泊客数の約5%のキャンセルが発生した。
欧州への旅行を計画している日本人にとっても、中東経由ルートが使えないことは大きな障害となっている。ロシアのウクライナ侵攻以降、ロシア上空が通行できなくなったのに加え、イラン上空も閉鎖された。中東系航空会社は比較的安価な運賃を提供していたため、これらの選択肢が使えなくなった影響は大きい。
直行便需要増で航空券高騰
日本から欧州への直行便の需要が高まっているが、機材繰りや乗員の確保などの理由から増便は難しく、搭乗率が上昇し航空券価格も高騰している。さらに、ジェット燃料の高騰と供給不足も深刻な問題となっており、航空業界全体に影響を及ぼしている。



