英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)から10年が経過し、その経済的影響が改めて浮き彫りとなった。英国政府の最新の試算によると、離脱によって国内総生産(GDP)が離脱しなかった場合と比較して約2.5%減少したことが明らかになった。
貿易と投資の停滞が主因
試算は財務省が公表したもので、ブレグジットによる貿易障壁の上昇や海外直接投資の減少がGDP押し下げの主な要因と分析されている。特に、EUとの間で新たに生じた通関手続きや規制の違いが、中小企業を中心に輸出コストを増大させた。
英政府関係者は「ブレグジットは長期的な経済成長に予想以上の打撃を与えた」と述べ、特にサービス貿易の減少が顕著だったと指摘した。一方で、EU離脱によって得られた独立した通商政策の恩恵は限定的で、新たな自由貿易協定の効果はまだ十分に表れていない。
労働市場にも影響
また、労働市場にも影響が及んでおり、EUからの移民労働者の減少が一部産業で人手不足を引き起こしている。特に農業や建設業、医療分野での影響が大きく、賃金上昇圧力につながっている。
英中銀(BOE)の分析でも、ブレグジット後の生産性伸び悩みが確認されており、長期的な成長率低下が懸念されている。経済専門家は「ブレグジットの影響は今後も続き、GDPギャップはさらに拡大する可能性がある」と警告する。
今後の展望
英国政府はEUとの関係改善を模索しているが、大きな政策転換は見込まれていない。与党内では「ブレグジットは正しかった」との立場が依然強く、経済対策として規制緩和や国内投資促進を打ち出す方針だ。
しかし、野党や経済界からは「EUとの再接近が必要」との声も上がっており、今後の政治動向が注目される。今回の試算は、ブレグジットの現実を改めて認識させるものとなった。



