「長崎原爆の日」に当たる9日、NHKスペシャルは「知られざる核危機 ハルペリン文書の警告」として、第2次台湾海峡危機を取り上げた。番組は、当時のアイゼンハワー米政権が中国に対する核兵器を使用するかどうかを検討していた事実に焦点を絞って放映している。
「知られざる」は誤り、既に公開済みの文書
ただ、米政治学者のハルペリン氏の記録した極秘報告書は、「知られざる」と銘打つほど目新しいものではない。ベトナム戦争の極秘文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を漏洩した元国防次官補特別補佐官、エルズバーグ氏が、すでに自らのウェブサイトで公開していた。
このハルペリン文書が広く一般に知られたのは、2021年に米紙が報じて話題をさらったからだ。
「戦略的安定」の虚構が招く危機
この文書が示すのは、冷戦期の「戦略的安定」という概念が、実際には核使用の検討という現実に支えられていたという虚構である。イラン戦争において、米国の軍事的優位は、こうした核の傘に依存する限り、その限界へと転換する危機をはらんでいる。



