日本政府は、米国のトランプ政権が制裁対象とした国際刑事裁判所(ICC)に対し、欧州主要国などとも連携しながら支援を継続していく方針だ。ICCの問題が日米関係に影響を与えないよう対米批判は抑制しており、米側がさらなる圧力強化に動かないよう、粘り強く働きかけを続けていく。
首相と外相が支援姿勢を表明
高市首相は9日深夜のX(旧ツイッター)への投稿で、「ICCが本来の役割と機能を果たせるよう必要な支援を行っていく」と支援する姿勢を強調した。茂木外相も同日、「我が国は国際社会における法の支配の徹底を一貫して重視している」とのメッセージを発表した。
欧州との連携と日米間の隔たり
中国やロシアが力による現状変更を試みるなか、日本は「法の支配」を共通の理念として同志国との連携強化を進めてきた。今回の米国の制裁措置を巡っても英独仏などと共同声明を即座に発表し、ルールに基づく国際秩序の重要性を強調することで、国際裁判所の存在意義に疑義が生じないように腐心した。
一方、同盟関係にある米国との立場の隔たりは依然として大きい。首相は9月の日米首脳会談で、トランプ大統領に対しICC支持を説明し、外相間で意思疎通していく方針を確認したが、米国の制裁発動を止めることはできなかった。
今後の対応と着地点探り
今回の制裁措置に対しても、日本側は「懸念」を表明したが、日本政府単独では「反対」には踏み込まなかった。日米関係に影響が出ないよう、米側を刺激することを避けたとみられる。ただ、トランプ政権は11月に中間選挙を控えており、「ICC攻撃の手を緩めることはない」(外務省幹部)との見方は強い。
日本側は今後も米側と協議を続けるとともに、米側の問題意識をICCにも共有して対応を促すなど、両者の間を取り持ちながら問題の着地点を探る構えだ。