イスラエルの議会が7月17日に解散され、10月27日の投票日に向けた選挙戦が事実上始まった。2023年10月7日のハマス侵攻以降、イスラエルはハマス、レバノンのヒズボラ、そしてイランへと戦線を拡大し続けており、文字通り戦時下の選挙となる。
戦争終結と平和回復が焦点になると想像されるが、現実は逆だ。現職のネタニヤフ首相は戦争の成果を誇示し、「自分でなければこの危機を乗り切れない」と戦闘継続と政権維持の必要性を強調する。野党も主要政党は戦争そのものを批判せず、その手法が間違っているとして政権交代を求めている。
国民も同様で、和平を求める声は少数で、ハマスなどの脅威が消えるまで戦うべきだという好戦論が圧倒的だ。ミサイルやドローン攻撃の恐怖にさらされる中での選挙は、異常な空気の中で展開している。
嫌われものの権力亡者ネタニヤフ
主要国でネタニヤフ首相ほど嫌われる政治家はいない。首相在任期間は通算20年近く、最長。権力維持のためなら戦争さえ利用する百戦錬磨の政治家だ。
ガザでは7万人余りの市民犠牲者を出し、国際刑事裁判所(ICC)が人道に対する罪と戦争犯罪の容疑で逮捕状を発行。イランに対しては米トランプ大統領を巧みに引き込み軍事攻撃を実現した。欧州の批判には「反ユダヤ主義の再現だ」と切り返す。国内では汚職容疑で起訴されながらも首相の座に執着。76歳になっても権力への執着は衰えない。
戦時下の選挙なのに現職不利
戦時下の選挙は一般に現職有利とされるが、ネタニヤフ首相はそうなっていない。



