ICC元裁判官・尾崎氏「制裁は個人より圧倒的に大きなダメージ」
ICC元裁判官・尾崎氏「制裁は個人より圧倒的に大きなダメージ」

今年のノーベル平和賞に、国際刑事裁判所(ICC)の元裁判官ナビ・ピレイ氏が選ばれた。その数時間後、米国のトランプ政権が、ICCを制裁対象に指定したと発表した。二つの異なる動きから、現在地をどう読み解けばいいのか。ICC元裁判官の尾崎久仁子・現東北大学国際法政策センター特任教授(客員)に聞いた。

「我々の世界では非常によく知られた人」

――元ICC裁判官のナビ・ピレイ氏が今年のノーベル平和賞に選ばれました。

「我々の世界では非常によく知られた人です。アパルトヘイト(人種隔離)の反対運動に参加した活動家らを弁護し、ルワンダ国際刑事裁判所の裁判官として優れた業績を残しました。ICC勤務の後は国連人権高等弁務官も務めました。国際会議で何度か会いましたが、包容力があり、みんなが尊敬する大先輩です。すごくうれしいなという感じが、まずしました」

「個人の受賞ではありますが、授賞理由には『国際法の仕組みは巨大な圧力にさらされ、その諸機関は攻撃を受けている』『法の支配こそが、平和を確保し、紛争を非暴力的に解決する土台』とありました。ICCの存在が事実上強調されていたと思います」

「圧倒的に大きなダメージ」

――ノーベル平和賞の発表からわずか数時間後、トランプ政権はICCを制裁対象に指定したと発表しました。組織そのものへの制裁の発動は初めてです。

「裁判所で使用している米国製のITシステムが使えなくなれば、裁判の遂行そのものが難しくなります。ICCは高度にIT化された裁判所です。多くのデジタル化された証拠のほか、遠隔地とつなぐビデオリンクのシステムも使えなくなる可能性があります。金融機関から排除されれば、危険を冒して証言する証人や犯罪被害者の保護にお金が使えず、職員の給料を支払うこともできません。個人に対する制裁より圧倒的に大きなダメージです」

さらなるダメージとは

――ほかに懸念はありますか。

「トランプ大統領は9月22…