欧州の自動車メーカーが電気自動車(EV)の販売不振に直面し、戦略の見直しを余儀なくされている。フォルクスワーゲン(VW)やメルセデス・ベンツ、ステランティスなど主要メーカーは、EVの生産計画を縮小し、価格引き下げに踏み切っている。
販売台数が目標を下回る
2024年の欧州主要メーカーのEV販売台数は、前年比でわずか3%増にとどまり、各社が掲げた目標を大きく下回った。特にVWは、ID.シリーズの販売が低迷し、2025年の生産台数を当初計画から20%削減する方針を発表した。同社の広報担当者は「市場の需要変化に対応するため、柔軟な生産体制が必要だ」と述べている。
中国勢の低価格攻勢
一方、中国のEVメーカーであるBYDや上海汽車は、欧州市場で低価格モデルを投入し、シェアを拡大している。BYDの「シーガル」は2万ユーロ未満の価格で販売され、欧州の消費者に支持されている。欧州自動車工業会のデータによると、2024年の中国製EVの欧州での販売台数は前年比で40%増加し、市場シェアは15%に達した。
補助金削減が追い打ち
欧州各国でEV購入補助金の削減や廃止が進んでいることも、販売不振に拍車をかけている。ドイツ政府は2023年末に補助金を打ち切り、フランスも2024年から補助金対象を低所得者層に限定した。これにより、EVの価格競争力が低下し、消費者の購買意欲が減退している。
欧州メーカーの対応策
欧州メーカーは、コスト削減と技術開発で対抗しようとしている。VWは2025年までにEVの生産コストを30%削減する計画を発表。一方、ステランティスは中国のEVメーカーとの提携を模索している。アナリストは「欧州メーカーは、中国勢との競争に勝つために、より大胆な戦略転換が必要だ」と指摘する。
この状況は、欧州の雇用にも影響を及ぼしている。VWは2025年までにドイツ国内の工場で5000人の人員削減を計画しており、労働組合との協議が続いている。業界団体は、政府に対し充電インフラの整備や産業支援を求めている。



