南米ペルーで、アルベルト・フジモリ元大統領の長女ケイコ・フジモリ氏が大統領に就任した。就任式は7月28日に行われ、フジモリ氏は「全てのペルー人のために働くことを約束する」と述べ、国民融和に努める考えを示した。
父アルベルト氏の遺産
フジモリ氏は、1990年から2000年まで大統領を務めた父に続く、2人目の日系人大統領。2年前に死去したアルベルト氏は、在任中に左翼ゲリラを壊滅状態に追い込み治安を回復したことで知られる一方、一般人をゲリラと決めつけて殺害した人権侵害事件で有罪判決を受け、約16年間服役した。
父の強権政治への反発は根強く、娘のフジモリ氏が過去3回の大統領選で惜敗した要因ともされてきた。4度目の挑戦となった今回の選挙では、あえて父のテロとの戦いを引き合いに出し、国境警備に軍を投入して不法移民対策を強化する主張を展開。治安悪化に不安を持つ保守層への訴えが奏功したようだ。
政情不安と国内課題
ペルーでは右派と左派の対立を背景に、この10年間で8人の大統領が汚職疑惑などで交代し、政情不安が続く。今回の大統領選は左派候補との決選投票となり、0.3ポイントの僅差でフジモリ氏が勝利した。中道右派のフジモリ氏が率いる与党は上下両院で第1党だが、過半数には達していない。
国内では都市と農村の格差が広がり社会の分断も深まっており、新政権には格差是正と国民融和への謙虚な取り組みが求められる。
外交課題と中国の存在感
外交面では、影響力を強める中国への対応が課題となる。中国はペルー最大の貿易相手国で、輸出入の約3割を占める。2024年には中国の国有企業が首都リマ近郊のチャンカイ港の独占運営権を獲得。中国の投資で整備された港は、ブラジルと中国の貨物輸送の中継点として取扱量を増やしている。
これに対し米国は「ペルーは中国に主権を奪われつつある」と指摘。トランプ政権は中南米を自らの勢力圏と位置づけ、中国による港の軍事利用を警戒している。ペルーは銅や金の資源国で、環太平洋経済連携協定(TPP)に当初から参加。新政権には、日本と同様に自由貿易や法の支配を重視した対外政策が期待される。



