米国とイランの攻撃の応酬が激化している。米中央軍は11日、イランがホルムズ海峡を航行中の民間船を攻撃したとして、イラン国内の軍事施設約140カ所を再攻撃したと発表した。一方、イラン側は12日、ホルムズ海峡の再封鎖を宣言するとともに、カタールやオマーンなど周辺国の米軍関連施設を攻撃したと発表。両国の対立が先鋭化し、停戦の継続が危ぶまれている。
イランによる民間船攻撃が引き金に
米中央軍によると、イランはホルムズ海峡を航行していたキプロス船籍のコンテナ船を攻撃。船舶に火災が発生し航行不能となったほか、民間人の船員1人が行方不明になったという。米中央軍は、停戦の覚書違反だとして、イランのミサイルやドローンの施設、弾薬庫、沿岸の監視施設など約140カ所の標的を攻撃したと発表。イランへの攻撃は過去1週間で3度目だが、標的の数はこれまでより大幅に増加している。
イラン、ホルムズ海峡封鎖と報復攻撃を宣言
一方、イランの精鋭部隊イスラム革命防衛隊は12日、「許可されていない航路でホルムズ海峡を通過しようとした」として、船舶に警告射撃を行ったと主張。「米国による地域への介入が終わるまで、海峡は封鎖する。いかなる船舶も海峡を通過することは許可されない」と表明した。
さらに、米国の攻撃に対する報復として、カタールとヨルダンの米軍駐留基地のほか、オマーンやクウェート、バーレーンにある米軍の後方支援施設や防空システム、弾薬庫などを弾道ミサイルやドローンで攻撃したと発表。カタール内務省によると、攻撃を迎撃する際の破片で子どもを含む3人が負傷したという。
背景と今後の見通し
米国とイランは6月、60日間の停戦で合意していたが、今回の攻撃応酬で合意は形骸化しつつある。専門家は、イラン国内の硬派の台頭や米国の強硬姿勢がエスカレーションを招いたと指摘。明海大学の小谷哲男教授は「一連のエスカレーションのきっかけは、アメリカがオマーンと協力してホルムズ海峡の南側に安全航路を設定したことにイランが反発して商船を攻撃したことだ。アメリカはイランがホルムズ海峡で通行料を取ることを認めるつもりはない」とコメントしている。
ラッパーのダースレイダー氏は「先日のハメネイ師の国葬の報道の中で、大統領や外相といった停戦協議を主導した面々に対してかなり批判的な市民の声が紹介されていた。後継者のモジュタバ師もハメネイ師の雪辱を果たすと声明を出している。こうした国内状況を抑えるには停戦合意において、特にイラン側の譲歩が必要だが、それが難しい状況だ」と述べている。



