米シアトルが「宇宙都市」に、スタートアップ集積の強み
米シアトルが「宇宙都市」に、スタートアップ集積の強み

米ワシントン州シアトルが「宇宙都市」として存在感を増している。人口約80万人の港町は、スターバックス、マイクロソフト、アマゾンなどの世界的企業で知られるが、今や宇宙産業の一大拠点へと変貌しつつある。地元経済団体によると、近郊で製造される人工衛星の約6割がシアトル産であり、この地域の宇宙関連スタートアップの集積は米国でも屈指の規模を誇る。

奇抜なアイデアでロケット打ち上げに革命

シアトル近郊の実験場で、ロケットエンジン企業ウェーブモーションローンチが斬新な技術を披露した。トラックの荷台からバズーカ砲のような巨大装置が現れ、木製の箱に向けて大量の粘土球を発射。耳あてとゴーグルを着けていても激しい雨のような音が響く。同社は、地上の装置から垂直方向に打ち出す粒子やガスをロケットにぶつけて押し上げることで、少ない燃料で低軌道まで打ち上げる技術を開発している。

2020年に設立され、正社員はわずか3人。資金の大半を友人や家族からの出資で支えるスタートアップだが、フィン・ファン・ドンケラールCEO(最高経営責任者)は「何十年も前から物理学者が提唱していたアイデアを商業技術として実現する」と意気込む。

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世界最高レベルの衛星製造

ウェーブモーションローンチから車で20分ほどの場所には、衛星企業ブラックスカイの製造拠点がある。クリーンルームでは、防塵服と帽子で身を包んだ作業員が、開発中の複数の衛星を組み立てている。大人ほどの大きさの銀色の筒の先端には、宇宙から地球を撮影するレンズが取り付けられている。

同社の衛星は、地球上空から地上にある35センチ以上の物体を識別でき、車や人の位置を把握できる世界最高レベルの性能を持つ。設計担当のタイマン・スティーブンス氏は「いまは年間40基を製造し、さらに倍を目指している。従来と比べれば信じられないスピードで衛星を製造している」と誇る。自社で運用する衛星データは民生用に販売するだけでなく、軍事用として米国防総省にも提供しているという。

宇宙スタートアップを育むエコシステム

シアトルが宇宙都市として発展した背景には、マイクロソフトやアマゾンなどの巨大テクノロジー企業の存在がある。これらの企業で培われたエンジニアリング人材や起業家精神が、宇宙分野のスタートアップ創出を後押ししている。また、ワシントン大学などの研究機関との連携も強みだ。

さらに、宇宙関連ベンチャーキャピタルが集積し、資金調達の面でも恵まれている。地元経済団体によると、シアトル地域の宇宙関連企業は過去5年で倍増し、従業員数も急増している。宇宙開発競争が激化する中、シアトルは民間宇宙産業の中心地として、さらなる成長が期待されている。

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