世界有数の産油国であるロシアで、ガソリン不足が深刻化している。給油に最大39時間待ちの大行列ができ、83ある地域の半数以上で販売制限が敷かれた。配給券がなければ給油できず、ナンバープレートの数字によって給油日を指定する地域も現れている。ウクライナとの戦争で「ソ連時代への逆戻り」を強いられるロシア国民の実情を、海外メディアが報じた。
配給券が必要な給油所
ロシア・シベリア東部の都市イルクーツク。SNS関連の仕事をするアリョーナ・サドヴニコワさん(26)は6月中旬、いつものようにガソリンスタンドに車を寄せたところ、給油には配給券が必要だと告げられた。ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、彼女は「本当に恐ろしかった。ソーセージを買うのにも配給券が必要だったソ連時代に戻ったのかと思った」と語った。
生後18カ月の幼児を抱えた彼女は数日後、夫とともに給油の列に並んだ。金曜日午後11時に加わり、暗闇の中で夜を越し、給油できたのは翌日午後5時。実に18時間後だった。列に並ぶ見知らぬ人たちが幼児に食べ物やおもちゃを分け与えたという。
39時間の立ち往生
サンクトペテルブルク在住のヴラドさんは、妻とウラジオストクで新車を受け取り、アルタイ山脈やカザン、モスクワを巡るロードトリップに出た。しかしシベリア東部の都市チタで、ガソリンスタンドの行列に39時間並ぶことになる。7月3日に予約していたホテルにはたどり着けず、旅程は大きく狂った。ヴラドさんが給油待ちの動画をインスタグラムに投稿すると数千件の「いいね」が付き、燃料不足への怒りのコメントが相次いだ。
6月28日午後11時、チタ郊外の国営石油大手ロスネフチの給油所。前方には推定1000台の車が連なり、車列は約2.8キロに及んだ。40分で50メートルほどしか進まず、給油できたのは6月30日午後だった。チタの手前の最後の給油所からは車で11時間離れており、チタ市内の給油所も1台あたり15リットルしか給油できず、業者が1カ所に500リットルしか納入していなかったためだ。
産油国なのにガソリン不足
米ビジネス誌フォーチュンによれば、エネルギーアナリストらは、ウクライナが数カ月にわたりロシア奥地の石油インフラへドローン攻撃を続けた結果、国内の精製能力の25%超が失われたと分析している。戦場から約4800キロ離れたイルクーツクでも給油待ちの行列は長く、地元当局が道路沿いに仮設トイレを設置すると約束する事態となっている。
ロシア全土でこうした事態が日常化し、産油国でありながら外国から燃料を買う状況も生じている。ウクライナとの戦争継続には依然として賛成の声がある一方、ガソリン不足へのストレスは国民の間で募っている。



