地方書店の新潮流「小規模・兼業」、郵便局やコンビニで本の販売広がる
郵便局やコンビニで本販売広がる、地方書店の新潮流

地域に書店がない「無書店自治体」が各地で広がる中、様々な業種の店で本を販売する動きが広がっている。日本郵便は7月22日から、福島県内の郵便局4局で児童書などの試行販売を始めた。コンビニエンスストアでも本を置く試みが定着しつつあり、様々な形で本とのタッチポイントが増える可能性が生まれてきた。

福島の郵便局で児童書の試行販売

試行販売が始まった福島県南相馬市鹿島区の鹿島郵便局は、JR鹿島駅から徒歩10分の場所にある。ロビーの一角には、ポプラ社との協力により、絵本などが並んだ専用の棚が設けられた。販売初日には、局員が訪れた客に「書籍の販売を始めました」などと声をかけていた。

かしま図書ボランティア代表の高田寿子さん(72)は、同区で子ども向けの読み聞かせなどを行い、今回の取り組みに期待を寄せる。「絵本などを手に取って見られるので、本への関心や視野を広げる場になるかもしれない」と語った。

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震災後の人口減と書店減少

南相馬市の人口は6月30日現在で5万4249人。東日本大震災前の2011年2月末と比べ、約1万7000人減少した。震災後の人口流出に出版不況が重なり、書店単体の経営が厳しい地域となった。同市教育委員会によると、書店の数は20年ほど前の7店舗から3店舗になり、鹿島区からは書店が消えた。

市立中央図書館は、専用自動車を使った移動図書館での本の貸し出しや読書会も行う。だが、子どもたちが歩いて書店に通い、本を買う経験は特別なものだ。松本圭史館長は「郵便局での書籍販売は、図書館としても歓迎だ」と語る。

コンビニでの本販売の広がり

無書店自治体を減らすと言っても、いきなり新たな単独書店を誘致するのは経営上難しい。日本郵便の取り組みに象徴されるように、「小規模・兼業」の本を置く店を増やし、本に触れられる場所を作ることが重要だ。その点で現在、注目されるのがコンビニだ。

コンビニ大手ローソンは21年から「ローソン マチの本屋さん」を手掛け、今年6月には17店舗目が開店した。同社の担当者は「通常のコンビニと比べて、本を目当てにしたお客さんも来るので商圏が広がる。読書のお供になるような飲み物を買うといったプラスの需要が見込める」と手応えを感じている。

近隣に書店がない場所に出店する際、店内に約66平方メートル(20坪)ほどの書店スペースを設けられる。雑誌や文芸、実用書、コミックなど6000~8000点ほどの書籍を販売する。チェーンで起用しているアーティストに関連した書籍を置いたり、その地域の関連本を並べたりするなど、店舗ごとの特徴も出す。

図書館などの公共施設や飲食店など、本を販売できそうな場所はまだ広がっていきそうだ。

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