朝日新聞国際報道部の連載「帝国の幻影~壊れゆく世界秩序」が、第3回国際文化会館ジャーナリズム大賞に選ばれた。同賞は日本と世界の関わりという視点から優れた検証をした報道に贈られる。受賞を機に、連載の舞台裏と取材で見えた世界の変容について、各地の現場を歩いた記者が報告する。
崩れゆく戦後国際秩序
米国が主導して築いたルールに基づく戦後国際秩序は崩れつつあり、私たちは過渡期を生きている。ロシアによるウクライナ侵攻などを機に、その混沌は浮き彫りになっていた。では、その混沌から何が生まれ出るのか。「破壊者」として台頭したトランプ米大統領も、破壊した後の構想を何ら示していない。
連載の狙いと識者の見解
連載では、生々しいニュースの現場からの報告と合わせ、日本や世界を代表する識者の知見も幅広く紹介した。「次の世界」の展望を示すことが狙いだった。米プリンストン大学のアイケンベリー教授は、リベラルな国際秩序が崩れ、列強の「勢力圏」を軸とした異なる秩序が始まることへの懸念を示した。一方、米ノートルダム大学のデニーン教授はリベラルな国際秩序を「ある種の虚偽に基づいたものだった」と断じ、打破すべき偽善と見ていた。デニーン氏には2019年にも取材したが、当時よりも自らの見方に自信を深めているように見えたのが印象的だった。
現場記者の視点
アメリカ総局の青山直篤記者は、トランプ大統領が「破壊者」として台頭したものの、破壊後の構想を示していないと指摘。一方、サンパウロ支局長の河崎優子記者は中南米の視点から、米国の影響力低下と新たな勢力圏の形成を注視する。連載では、大国の思惑が交錯する中で、日本の立ち位置も問われている。



