岸田文雄首相が8月に韓国を訪問し、尹錫悦大統領と首脳会談を行う方向で調整に入ったことが、複数の政府関係者への取材でわかった。日韓両政府は、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応や経済安全保障など幅広い分野での協力強化を確認する方針だ。
岸田首相、8月に韓国訪問へ
首相の韓国訪問は、昨年5月のソウルでの首脳会談以来、約1年3カ月ぶりとなる。両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる安全保障協力や、半導体をはじめとするサプライチェーン(供給網)の強化について協議する見通しだ。また、両国間の懸案となっている元徴用工問題の解決策の進捗状況についても意見交換が行われる可能性がある。
政府関係者によると、首相は8月中旬に韓国を訪問し、尹大統領と会談する方向で日程調整を進めている。首相は、先月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)で尹大統領と会談した際に、韓国訪問の意向を伝えていた。
日韓関係の改善基調を維持
岸田政権は、尹政権との間で懸案だった元徴用工問題の解決策を打ち出し、日韓関係の改善を進めてきた。今回の首脳会談では、その流れをさらに加速させる狙いがある。特に、北朝鮮の核・ミサイル開発が加速する中、日韓両国は米国との3カ国連携を強化しており、安全保障面での協力は不可欠となっている。
また、経済分野では、半導体や蓄電池など重要物資のサプライチェーン強化が議題となる。日本政府は、韓国との間で経済安全保障に関する協力覚書の締結も検討している。
一方、韓国国内では、尹政権の対日融和姿勢に対する批判も根強い。元徴用工問題の解決策をめぐり、韓国最高裁の判決に基づく賠償命令が確定している原告側からは反発の声が上がっている。岸田首相は、こうした国内事情にも配慮しながら、韓国側との調整を進める必要がある。
今後の日程と焦点
首相の韓国訪問は、8月15日の「光復節」(日本による植民地支配からの解放記念日)前後になる可能性がある。光復節は韓国にとって重要な祝日であり、尹大統領は毎年、対日政策に関するメッセージを発表している。岸田首相の訪問時期が光復節と重なるかどうかは、両政府の調整次第となる。
また、首相は年内の訪中も検討しているとされ、日韓関係の改善を足がかりに、中国との関係構築にも動く可能性がある。しかし、中国との間では、東シナ海での活動や経済的な圧力など課題が山積しており、調整は難航が予想される。



