米国とイランの対立が再び激化する中、原油を運ぶ日本のタンカーが翻弄されている。停戦合意後に回復しかけたホルムズ海峡の航行は、攻撃再開で再び減少。船の動きや積み荷のデータを公開するサイト「マリントラフィック」によると、出光興産系の超大型タンカー「アポロエナジー」は6月初め、北海道の苫小牧港を出発。20日ごろにマラッカ海峡を抜けてインド洋に入ると、アフリカ南端の喜望峰へ向かう航路に乗った。中東ではなく米国の大西洋岸をめざしたとみられる。
アポロエナジーの迷走
アポロエナジーはもともと、中東と日本をおよそ2カ月おきに行き来していた。1~2月にもサウジアラビアと日本を往復したが、米国のイラン攻撃が始まって以降は日本近海におり、今回はそれ以来となる長距離の航海だった。しかし6月23日に突然、速度を落とし、スマトラ島の西側にあるインド洋上で停泊した。1週間前に米国とイランが停戦合意の覚書を交わしていたためだ。7月に入ると一転して中東方面へ進み始め、6日にはスリランカに近いところまで到達した。
停戦合意の崩壊
だがここで、イランと米国の応酬が再び激化する。アポロエナジーはまた速度を落とし、10日ごろには結局、東へ引き返し始めた。15日現在はマラッカ海峡まで戻っている。日本郵船の超大型タンカー「天喜」も、停戦後の6月下旬にマレーシア沖から中東に向けて出発。7月10日までにオマーン沖に到着したものの、攻撃再開後に速度を極端に落とした。ホルムズ海峡の手前にあるオマーンの港を目的地に登録しているが、沖合で様子を見ているようだ。
ホルムズ海峡の通行量急減
国際通貨基金(IMF)などの監視サイト「ポートウォッチ」のまとめでは、ホルムズ海峡の行き来は停戦後、平時の3割ほどまで回復。だが攻撃の応酬が再開後にまた急減している。2月に戦闘が始まって以降、日本船社は中東原油の調達に支障をきたしており、今回の混乱でさらなる影響が懸念される。編集委員・東山正宜が報じた。



