高層ビル群がそびえるジャカルタ。初めて訪れた筆者の周囲の日本人は、決まって「こんなに都会だとは思わなかった」と感想を漏らす。インドネシアはコロナ禍でマイナス成長に転じた2020年を除き、10年以降、毎年5%前後の経済成長を続けてきた。政府は45年までに先進国入りを目指し、ジャカルタでは開発が進んでいる。
中間層の消費は旺盛、一方で貧困も
中心部は大規模な商業施設のビルが林立し、休日には若者や家族連れでにぎわう。中間層の消費は旺盛だ。ある40代の男性公務員は、休日になると愛車のトヨタ車に家族4人で乗り込み、ショッピングモールへと出かける。昼時には以前から気になっていたモール内の日系ラーメン店で、ラーメンをひとり1杯ずつ堪能。合計で約4千円の会計を払う。街の屋台であれば数百円で済むところを、外食に高いお金を払うこともいとわない。
だが、巨大ビル群の足元を一本裏路地に入れば、富と隣り合わせの貧困が顔をのぞかせる。北部アンチョールは高級住宅街が点在する富裕層の街だが、線路沿いには貧困街が続いている。数分おきに電車が走るたび、線路沿いに立つ約300世帯ものバラックが揺れる。
「太陽の当たらない路地」に広がる違法建築
狭いスペースに家が建てられ、その上にさらに家が増築されている。違法建築が繰り返された結果、「太陽が届かない路地」として知られるようになった。この路地で小さな商店を営むイェニさん(45)は、南スマトラ州から職を求めて25年前にジャカルタに来た。「地方の新参者にジャカルタは高すぎる。ここに住むしかなかった」と話す。この路地の家はトイレなしで家賃は約30万ルピア(約2600円)が相場。4人以上の家族で住む住民が多いという。
巨大都市の繁栄の陰で、中間層と貧困層の格差は広がるばかりだ。連載では、この都市の膨張が進んだ果てに何が待つのかを追う。



