「お得」という言葉は、誰もがつい惑わされる魅力的な言葉だ。しかし、お得だからと飛びついた買い物が、結果的に「よくない買い物」になっていることは少なくない。
よくない買い物とは、買うことや手に入れること自体が目的となり、本当に欲しい商品や必要な商品を買っていない買い物のことだ。買い手側の視点で見ると、こうした買い物は価値を見失っていると言える。
売り手にも共通する「価値の喪失」
これは買い手だけの問題ではない。売り手にとっても、商品の価値を伝えて理解を得た上で購入してもらうのではなく、「お得」を謳ってとにかく買ってもらえればいいという売り方をするケースがある。
その場では利益が出ても、商品への評価が伴わなければブランドの毀損やリピーターの喪失につながり、長続きしない。買い手も売り手も、よくない買い物は本来大事にすべき「商品の価値」を見失っている点で共通している。
なぜ「お得」に弱いのか
「残り3点」「今だけ半額」「100%返金保証」といった言葉に反応してしまうのは、人間の脳が「お得」に弱くできているからだ。行動経済学では、こうした不合理な選択の背景に「参照点依存」などの心理的傾向があるとされる。
年収の60%に相当する車を無理して買ってしまうのも、ポイ活やテレビ通販にハマってしまうのも、「自分へのご褒美」と称して買い物を正当化するのも、すべて同じ心理の現れである。



